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「ご主人はこの中にいます。貴女に殺され、体と切り離された頭だけが」

「い、いい加減な事言わないで!私は何も知らないわよ!」

女性が投げ付けたティーカップが、翼の顔をかすめて後ろの壁に当たった。

派手に陶器が割れる音が響き、歪んだ形相で女性は翼に殴り掛かろうとする。

「ふざけないで!何であんたみたいな小娘に……!」

振り上げられた腕を、素早く大地が掴む。

「詳しい話を聞かせてもらえますか。署の方で」

「な、何よ!あんたまでこいつの話を信じるの!?私を助けてくれるんじゃなかったの!?」

「貴女か彼女か、どちらかを信じるのなら、俺は彼女を信じます」

大地は腕を掴んだまま、動じずに立っている翼を見る。

「彼女は今まで一度も嘘をついた事は無い。それに嘘をつく必要があるのは、この場合は貴女の方でしょう」

「奥様の後ろにはご主人の影が見えます」

翼は抑えた口調で続ける。

「例え警察に捕まらなくとも、法が貴女を裁かなくとも、その影からはずっと逃れられないでしょう。貴女はいつまでも背負い続けなくてはなりませんから、忘れないで下さい。」

その声は特に大きい訳でも無いのに、異様な程響き渡った。

静まり返った空間に、静かな宣告だけが響いた。





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