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笑顔が浮かんだ事にほっとしながら、アクセルを踏み込む。

もう既に、外は夕日の茜色で満ちている。

「軽くドライブでもしてから、夕食を食べに行こうか」

「はい」

「だから、あまり煎餅を食べ過ぎないようにした方が良いぞ」

隣から聞こえ出したぱりぱりという音に注意すると、翼は真顔で答えた。

「大丈夫ですよ。お煎餅を幾ら食べても、食事は入りますから」

「それなら良いが」

大地がそう言った後、車内には沈黙が訪れた。

ただ、煎餅を食べるぱりぱりという音だけが響く。

運転の合間にちらりと見やると、翼の表情はまだ何処か沈んでいた。

優しいからこそ、人の気持ちを考えて自分自身が傷付くのだろう。

けれど、それでも。

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