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黒い糸のような影。

よく見れば、それらは電線のように何本も伸びている。

胸が寒くなる光景に思わず息を飲むと、翼は厳しい目で糸を見詰めて呟いた。

「呪よ、掛けし者の元へ返りなさい」

そして伸ばした指で呪いの糸を断ち切る仕草をした。

同時に何本も張られた糸はぷつんと切れ、同じ方向へと巻き取られるように集められて行く。

しばらくは微動だにせず糸の行く先を見据えていた翼が、やがて息をついて腕を下ろす。

「今のは……」

「呪いを返しました。手応えはありましたから、掛けた者もただでは済まない筈ですが」

淡々とした話の内容に言葉を失うと、巫女は寂しそうな微笑を浮かべた。

「そんな事をしているところを、わざわざ貴方に見せたくはなかったのですけど。けれどあれは放っておけば人に害を成すもの。そのままにしてはおけないんです」

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Reservoir Amulet2