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「俺がひねくれているのは、お前も分かっていると思っていたが?どれも似合っていた」
腕の力は緩まない。
後ろから抱き締められているから、顔は見えない。
だから、彼の普段見せない本音が見えるのだろうか。
「似合っているから、気に入らなかった。お前の美しい姿は俺だけが知っていれば良い。わざわざ人目に晒すような事はしたくない」
「……本当に、飛龍らしくないわね。いつも余裕があるようなのに」
「呆れたか?だが、これが俺だ。お前のことになると、余裕もはったりもきかなくなる。俺は自分で思っていた以上に、嫉妬深く欲深い男らしい」
僅かにかすれた声で語ってくれる事が嬉しい。
誰よりも高い場所にいるからこそ、いつも誰よりも強く大きくいなければならない彼の。
だからこそ、己を省みる事に疎い彼の。
力に、繋ぎ止める切っ掛けになれているなら。
これ以上嬉しい事は無い。
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Reservoir Amulet2