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「もうすぐ出勤ですよね。私、ご飯作ります」

「有り難う」

持って来た材料を手に台所へ向かう。

エプロンをして髪を結わえていると、静嵐も隣へ来た。

「…………」

「手伝って下さるんですか?有り難うございます」

「…………」

「では、野菜を切って頂けますか」

頷いて腕まくりをする様子に微笑む。

本当に、無口な彼だけれど。

秘めている優しさも痛みも知っているから。

こうして過ごせる何気無い一時が、嬉しい。

「いつも思っていましたけど、静嵐って本当に包丁を扱うのが上手ですね」

器用に大根の皮をむく静嵐に、思わず感心する。

「…………」

いつもの無表情の中に照れたところを見付けて、胸が暖かくなった。

こうして二人でいられる。

ああ、何て幸せなのだろう。





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