赤猫のしなやかな来訪
喫煙室前まで来たは良いものの、当然警官が見張っていた。少し様子を見るために、喫煙室付近にある空き部屋に忍び込む。少しドアを開けて声が聞こえるようにして腰を下ろす。
眠らせようか悩んでいると、イヤホンから悲鳴が聞こえた。
[た、助けてくれえ]
[…発疹!?]
[まさか感染したのか!?]
[そういえばあの方喫煙室に…]
[助けてくれ!お願いだ!なんだか具合が悪いんだあ]
[うわあああ!]
今の叫び声は藤岡。テロリスト自ら感染するとは考えにくい。何らかの計算したうえで演技しているだけだろう。
盗聴器の話によるとウエイトレスの一人も感染していた。二人を隔離するため診察室の奥にある病室に運ばれたらしい。そして全員念のためラウンジに移動。
次は何処に行こうかと思考を巡らせる。そろそろ藤岡の仲間が合流するはず。そうなるとどこから乗り込んでくるか。
僕はインラインスケートを履き、廊下へ飛び出した。
飛行船の内部を滑っているとコナンと子供たちの話声が聞こえてきた。手すりを飛び移りながら移動する。
「うわああ!なんだ!?……ってルオンかよぉ」
「あ!ルオンくん!」
「天音っじゃねえ、ルオン!」
「何してんのこんな所で」
「ルオンくんこそ」
足場にしていた手すりから飛び降りる。色々と質問したそうな面々を見て合流したことを後悔した。いつも通り単独行動してればよかった。
うんざりしていると幸運なことに前方に黒い人影が動いた。
「…!!隠れろ!ここでジッとしてろ」
「「「うん…」」」
コナンは僕に視線で合図を送り、体をかがめながら柵のギリギリまで近づいた。しぶしぶコナンの後に続く。
「何もんだ…こんな時にこんな所で…一体何を…」
「体の線からして男だね…」
「ああ…」
その男は飛行船内部の天井に伸びた梯子を上っていく。男は天井部にたどり着くと、扉のロックを外した。
彼が梯子から降りたのを見てから、インラインスケートのウィールロックを外し梯子を登る。コナンも気づいたらしくこちらに向かって来た。
しかし僕もコナンも動き出すのが遅すぎた。あと少しと言った所で頭上からヘリコプターの音が聞こえてきた。
このまま行ったらテロリストたちと鉢合わせてしまう。急いで登っていた梯子から飛び降り、コナン達とは別のフロアに降り立った。