第二関門二日目
「「「レイっ!!!」」」
三人の前に姿を現せば彼らは声を揃えて叫んだ。いきなりシカマルが距離を詰めてくる。表情や雰囲気といい、これはかなり怒っているだろう。
「どうしたんだよ、その傷」
「その、ころ」
「ったく、転んだなんて言わせねーよ。んなん嘘だってわかるっつーの。どんだけ心配したと思ってんだ。だいたいな、もっと自分を大事にしねーと、いつか自分の身を滅ぼしかねねーっていつも言ってんだろ」
ことごとく私の言葉を遮るシカマル。こんな所はヨシノさんに似ていると毎度のことながら思う。
小さな子供になった気持ちで彼の説教を正座しながら聞くことにした。
その日の夜。私は皆が寝ている洞窟からそう遠くない、川辺に来た。
理由は簡単。左腕を冷やすためだ。どうにも痛さで目が覚えてしまう。冷やしている最中に気づいたのだが、あの赤い紋様は黒に変化していた。
十分に冷やし終えた時、空気が動いた。素早く刀に手をかけ、振り向く。
「なんだ、シカマルか…」
「オレじゃわりーかよ」
その気配の正体は意外にも、気だる気にポケットに両手を突っ込んだシカマルだった。
「…にしても、珍しいな、お前がオレの気配、見切れねーなんて」
図星だったため私は言葉すら出ない。彼は隣に腰かけた。
「レイがオレの気配に気づかねー時は、だいたいキオさんの特訓後。つまり戦闘後っつーことだ」
違うか?と私に問いかけるシカマルに私は苦笑しかできない。
「シカマルには敵わないな…」
「幼馴染みを嘗めんな」
シカマルは不敵に笑った。
「っと、そろそろ戻っか…無理、すんなよ」
「善処する」
「おいおい」
翌日、第二の試験二日目。
少しずつ塔に近づく私達だったが、私とチョウジのために小まめに休憩を取っているためなかなか進まない。
小休憩中、何やら下でシカマルとイノが騒いでいるようだった。
「チョウジ、それで最後だからな」
「えー…そんなぁー…」
隣で両手に桃を抱えているチョウジに言うと、チョウジは残念そうに眉を下げた。しかしそれ以上食べられてしまうとせっかく確保した食料が底を尽きてしまう。言いたくはなかったが、やむを得ない。
するとチョウジは桃にかぶり付いてから何か遠くの物に気づいたのか、目をこらし始めた。
「どうした」
「…サスケがぶっ倒れてる。で、サクラが戦ってる」
私もチョウジが見る方向を見ると、様子があまりよく見えないが、確かにそうだ。
「何ですってっ!?」
私達の会話を聞いていたのか、イノが私やチョウジがいる枝に飛び乗ってきた。シカマルもそれに仕方なしに続いている。イノは飛び乗った後、直ぐに目をこらし、チョウジが見る方向を見た。
その場に向かって見るとサクラとおかっぱ君が、音忍三名との戦闘が繰り広げられていた。私達は少し離れた草影で事の成り行きを伺う。
まず、あの音忍の中のリーダー…あいつは一番厄介だ。瞬時に冷静な分析、判断ができ、周りを良く見てる。もう一人の両手に穴が空いてるやつは…単純そうだ。最後の一人は行動すら起こしてないため、図り知る事ができない。
「サスケとナルトは…気絶してるだけみてーだが…あのリーですらボコられて、サクラ一人だ…お前はどーすんだよ、イノっ!?」
「…どーするって…」
言い淀むイノにシカマルが追い討ちをかける。
「つーかサクラやべーぜ!いいのかよ!?お前ら、昔、親友だったんだろ!?」
「っ!!」
言葉を詰まらせたイノ。横から見た表情からは心中は分からない。私には何か考えているか、何か思い出しているかの様に思えた。
イノが私達の安全を確保するために逃げを選ぶか…それともかつての親友、サクラを助けに入るか。今回はイノの判断に任せることにした。