蛇の面影
「このガキィ!!」
一人の音忍が叫んだ瞬間。私達、第10班がサクラの前に立ちふさがった。
「フン…また変なのが出てきたな…」
音忍がそう呟いたと同時に、私は素早く刀に手を添えた。
「っ!!!」
「ザクッ!!」
峰打ちでザクとやらを斬りつけ体制を崩させた。鳩尾に入れたためしばらくは動けないだろう。元の定位置に戻るとイノに「やるわねー!レイ!」と背中を叩かれた。地味に痛い。
「イノ…どうして…?」
「サスケ君の前で、アンタばっかりいい格好はさせないわよー!」
当のサスケは倒れてるんだが良いのだろうか。すると左手にいた音忍が口を開いた。
「またウヨウヨと…木の葉の虫けら達が迷い込んできましたね…」
殺気は大したことない。大蛇丸に比べたら可愛い物だ。さて、どれくらい私達の力が通用するか、試させて貰おう。
「三人とも何考えてんだよー!こいつらヤバすぎるってー!!」
「めんどくせーけど、しょうがねーだろ!イノとレイが出ていくのに、男のオレらが逃げられるか!」
「巻き込んじゃってごめんねー!だけどどうせフォーマンセル、運命共同体じゃない!」
「ま、なるようになるさ」
「同感だな…」
私もシカマルの意見に賛成の意を示すと、チョウジがジタバタと逃亡を謀りだした。
「そんなレイまでー!いやだー!!まだ死にたくなーい!!マフラー離してよー!」
「うるせえ!!ジタバタすんな!!レイが大丈夫だっつってんだから、大丈夫に決まってんだろ!」
「だってー…」
「ククク…おめーは抜けたっていいんだぜ?おデブちゃん」
ピクリとチョウジの耳が動いた。チョウジに、その言葉は禁句だ。これ以上言ったら後はない。
しかし今は少々不利な戦闘状況。多少のリスクがあるにしてもこれを大いに活用させて貰おう。私は静観を決め込んだ。
「え?今何て言ったの?あの人…ボクよく聞き取れなかったよ…」
「あぁ!?嫌なら引っ込んでろっつったんだよ!この、デブ!!」
「ボクはデブじゃない!!ポッチャリ系だ!コラーー!!ウオオオオオッ!!ポッチャリ系バンザーイ!!」
ついにチョウジがキレた。
後ろでサクラが呆気にとられているのが、目に浮かぶ。このチョウジの豹変には、最初私も驚かされた。
「よーし!お前ら、分かってるよな!!これは木ノ葉と音の戦争だぜぇ!!」
チョウジは私達を指差しながら、燃えている。これが上手く作用してくれると良いんだが。
「ったく、めんどくせーことになりそうだぜ…」
「そりゃこっちのセリフだ…」
「サクラ…後ろの二人、頼んだわよ…」
「…うん!」
「それじゃあレイチーム、全力で行くわよーっ!」
「おう!」
イノの掛け声にチョウジが応じる。
「レイ率いる、フォーメーション!イノ!」
「シカ!」
「チョー!」
まず、一人をチョウジの揺動に引っかける。そしてシカマルが女の音忍を影真似で足止め。さらにその女にイノが心転身で乗り移り、最後の仕上げ。
その間、私はサクラ達の周りに念のため、水無月家特性のクナイを媒体に翠玉結界を張り、残った一人の音忍の相手をしていた。気絶させる必要も殺す必要もない。ただ、足止め、あるいは時間稼ぎになれば良いのだから。
相手の音の振動を結界で防ぎつつ軽く打ち合いをしていたら、ようやくイノの心転身が成功し、一段落…かと思いきや。
「ヤバイ、そいつらは…!!」
「あ!!」
サクラが言うと同時に、チョウジの相手をしていた音忍がイノに向かって、腕を突き出した。瞬時に私はイノの前に庇うように立ちふさがり、結界で防ぐ。
「っチッ!!」
「レイ!助かったわ…ありがと」
「怪我、ないか?」
「うん、レイのおかげで。…それにしても…なんてやつらなの…仲間の体を、傷つけようとするなんて…!」
さっきまで相手をしていた音忍が一歩踏み出る。
その時、サスケの体からチャクラが漏れ出してきている事に気がついた。この邪悪なチャクラ…どこかで。考えついた先は、嫌な笑みを浮かべた大蛇丸の顔だった。