担当上忍は煙好き
騒がしい教室。いつもと同じ風景。違うのは皆アカデミーの生徒ではなく一人前の忍者であるということ。
「よぉ…ん?お前額当ては…」
右隣に座ったシカマルに無言で右足首を指差す。
「ってそこかよ…」
「腕か…」
「めんどくせーからさ」
シカマルが額当てを着けていたのは腕だった。何とも彼らしい。
そこへイルカ先生が教室に入って来て説明会が始まった。話を聞き流しながら寝る体勢に入ったシカマルと目が合う。彼はニヤリと笑った。
話は進み、班編成が読み上げられる。教室の者は皆、喜んだり悲しんだり様々に分かれた。
「10班ーーー山中イノ、水無月レイ、奈良シカマル、それから秋道チョウジ」
名前が呼ばれた。班員は見知った者ばかりで一安心といったところか。
シカマルと一緒となると任務が楽に片付くに違いない。ふと隣を見るとシカマルと視線がぶつかった。
「レイが一緒ならやりやすくて助かるぜ」
「同感だ」
担当上忍の先生は午後に紹介されるらしい。とりあえず四人で昼食を取ることにした。母から渡された重いそれを三人の前に広がる。
「うそ!!レイのお母さんの手作り!?」
イノは瞳を輝かせた。隣のチョウジも同じような光を目に宿している。
「つーか、この量持って来たのかよ」
「これなら皆で食べれるね!!」
呆れるシカマルに嬉しそうなチョウジ。チョウジにいたってはもう両手におにぎりを掴んでいた。
話しながらいつものようにご飯を食べ始める。
少し食欲が湧かなくて空を仰いだ。雲がいくつか浮かんでいて絵に描いたような晴天。夜空も好きだが昼の空も案外悪くない。
これから不安なのが担当上忍のこと。私は情けない事に重度の人見知りだ。それ故に午後が憂鬱でならない。
溜め息を1つ吐きまたも空を見上げる。シカマルがよく「雲はいいよなー…」と呟くが、全く持ってその通りだ。
「不安か?」
シカマルが顔を覗き込んできた。無言で頷く。
「まー…お前一人じゃねェんだから何とかなるだろ」
そう言って彼は照れ臭そうに私の頭を軽く叩いた。
昼食後、教室に戻るとイルカ先生によって担当上忍を紹介された。煙草をくわえ、厳つそうな男の人だ。
場所を変えると「とりあえず座ってくれ」と言われた。私たちが腰掛ける前に彼はドサリと腰を下ろす。私たちが近くの椅子に座った途端、彼は煙草の煙を吐いた。
「「ゲホッゲホッ!」」
一斉に咳き込む。煙が目に染み前が霞んだ。上忍なんだから時と場を弁えて欲しい。
「あ、わりーわり…今日から第10班の担当になる、猿飛アスマだ。厳しくするから覚悟しろよー?」
猿飛担当上忍は笑顔を浮かべたが、こっちはそれどころではない。シカマルやイノは恨めしそうに煙に耐えているし、チョウジは涙と鼻水で大変そうだ。私は耐えられず近くの窓を開けた。
「いきなり泣くなよ。まだ厳しくするって言っただけだろ?」
「煙」
「ん?」
ポツリと呟くが体が強張りこれ以上は言葉を紡げそうにない。幼馴染みに後を任せ下を向く。
「煙が目に染みんだよ!」
その通り。シカマルの言葉に私は大きく頷いた。