美食に集う
乾杯をした後は各々に食べ始める。父さん達は今後の木の葉についてや次の火影の話などで盛り上がり、母さん達はいつもの世間話や愚痴の聞き合いで盛り上がっていた。
「チョウジ、もっと味わいなさいよ!もったいないでしょ!コトさんの料理が!」
「だってぇ…美味しいんだもん…あ、レイ、それ取って!」
「ちなみに母さんの、じゃなくて母さん達の、料理な。これか?」
「それそれ!ありがとう!」
「もう!レイは細かいんだから!」
チョウジに大皿を渡してから目の前にあるサラダを自分の皿に盛り付けた。ついでにマリネも盛り付けようと腕を伸ばす。すると突然マリネの大皿が私の目の前まで運ばれて来た。
「これだろ?」
「あぁ、すまない」
シカマルから受け取ろうとするが、するりとかわされた。どういう事だ。
「ちゃんと肉も食えよ。さっきから野菜しか食ってねーだろ」
「…分かった」
この時、イノとチョウジが「「(過保護だ…)」」と心の声を揃えていたんだとかいないとか。
イノが待ちに待っていたデザートの時間。甘味があまり好きでない私とシカマルは少量のブルーベリーパイを食べてから縁側で碁をうつ。
「…負けだ。あーくっそ、今日は良いとこまで行ったと思ったけどなー…お前強すぎだろ」
「私なんかまだまだだ」
「まあそりゃキオさんに比べりゃそーだろうけどよ、中押しで勝っといてよく言うぜ」
乱暴に頭を掻くシカマルの表情は心底悔しそうだ。途中、結構危ない場面もあったのだが何とか乗り切ったのは秘密にしておこう。
「ところでこの前の戦の時、サスケを追ってた時何かなかったか?」
「あぁ、いつもの直感ってヤツな…あれか、音のヤツ等に殺られかけた事か?ま、アスマが助けに来てくれたから助かったんだけどさ」
「そうか…」
やはり私の直感は外れない。シカマルに大事がなかったから良いものの、もし何かあったらと思うと怖くなった。
「ばーか」
いきなりコツンと額を小突かれる。いつの間にかシカマルが目の前にいてドキリとしてしまった。
「あのなァ、お前だって会場守んなきゃいけなかったんだろ?しょーがねぇだろうが。それにオレは今生きてっし」
ニヤリと笑ったシカマルに私はあっさり絆されてしまった。
お開きとなり玄関まで見送りをしている時、ふいに後ろに腕を引かれた。
「何だ、忘れ物か?」
「いや…そんなんじゃねぇ…」
振り返るとシカマルは手を離してくれた。歯切れの悪い言い方に不思議に思いながら言葉を待つ。
「…さっきの気にすんなよ。レイ、ああ言うの結構気にするだろ?」
彼の言う「さっきの」というのは何度か碁をうってた時に出来た三コウの事だろう。
三コウとは碁の世界ではなかなか見ることの出来ない貴重な形である。しかし三コウが出来ると昔から不吉の前兆や災いの前触れなどと言われている。
「あぁ、分かっている。シカマルこそ気にするなよ」
「オレは元々ああ言う類のは信じねーよ」
「それもそうだな」
シカマルのニヒルな笑顔に吊られて私も笑ってしまった。
一抹の不安さえ、彼にはお見通しらしい。油断ならない幼馴染で頼もしいかぎりだ。
次の日の任務報告後、アスマ先生を紅上忍が迎えに来ていたのでイノが、「先生デートぉ?」と囃し立てていた。私は美男美女でお似合いだと思うがアスマ先生の名誉のためにも口に出さないでおこうと思う。
それぞれの帰路を辿り、私が家に帰ると知らない気配を感じた。玄関には大きな下駄が転がっている。父がいないのに客とは珍しい。
居間に行くと白髪で大柄な人が母さんの向かいでご飯を食べていた。
「あら、おかえり、早かったのねぇ。ご飯できてるわよ」
「おおっ!この嬢ちゃんがコトとキオの娘かのう!」
「そうなんですよ。ほらレイ」
ご飯を食べる手を休めずにこちらを見ているこの人は何者なのだろう。そう考えながら母さんの隣に行く。
「私の娘のレイです」
「水無月レイです」
母さんの紹介で一礼する。男性は私を見ると「ほほう」と言って顎に手を当てた。
「見た目はキオそっくりだが中身はコトに似とるのォ…」
「フフッそうですか?」
「この生真面目な態度は昔のコトそっくりだ」
「で、レイ、こちらは伝説の三忍の自来也様」
「えっ?!?!」
母さんの言葉に私は母さんと自来也様を交互に見る。二人はそんな私を愉快そうに見ているだけだった。