忍び寄る影
「この鳥のからあげは絶品だのォコト!まだあるか?」
「えぇ、勿論ですよ」
私はご飯を口の中に放り込んだ。昼間からこんなに沢山揚げ物をよく食べれるな…と一種の尊敬の念すら感じてしまう。
「ふう、食った食った!ところでレイ」
瞬時に姿勢を正し箸を置く。そんな私の様子に自来也様はガハハと笑った。
「そんなに身を固くするな!」
その一言に一瞬瞬きを忘れるほど衝撃を受ける。彼から火影様の面影を感じたのだ。
「して、うずまきナルトはどこら辺にいるか知っとるかのォ?」
「ナルトですか…」
ナルトを思い浮かべると屋台のラーメン屋が頭に浮かぶ。
「この時間帯なら一楽でラーメンを食べているかと思います」
「そうか!よし!ワシはそろそろ行くとするかのォ!」
自来也様は勢いよく立ち上がると、私の頭に手を置いた。
「レイは食べてろ、見送りはコトに任せとけ」
自来也様の笑顔はやはり火影様に似てる所がある。その後ろ姿さえも何かを感じずにはいられなかった。
ある日の正午。図書館の帰り道に目の前から走って来る人影と犬影(?)が見えた。
隣を歩くシカマルが嫌そう「げ、キバ…」とぼやく。シカマルは私が最近図書館に通っているのを知っていたらしく、迎えに来てくれたのだ。
シカマル曰く、「レイは熱中し過ぎると周りが見えなくなるから心配なんだよ」との事。集中し過ぎて昼食すら取っていないのを彼は予想して母さんの弁当を持ってきてくれた。さすが幼馴染。
「レイ!中忍試験の時の約束!忘れたとは言わせねぇっ!!覚悟しやがれ!」
「ワンワンッ!」
キバの隣で吠える赤丸も勇ましく吠えている。そう来るだろうなとは思っていた。私とシカマルは同時にため息をつく。
「懲りねぇのな、お前。もう確か12戦中12敗とかじゃねーの?」
「うるせぇ!次勝ちゃいーんだろうがっ!」
「それでも12敗の記録は残るけどな。それにお前がレイに勝てるとは思えねぇし」
「あめぇよシカちゃん!前のオレとは一味違うぜ!修業の成果を見せてやる!」
「…めんどくせぇヤツ…」
シカマルとキバのやり取りは中々終わりそうにない。空を見上げてやり過ごすことにした。
雲の流れを目で追っていると、ふと思い出されたのは昨日聞いた自来也様と母さんのやり取り。自来也様が席を立った後、飲み物を取りに席を立った時たまたま聞こえてきたものだ。
「コト、ご馳走になったな!」
「いえいえ!また行らしてくださいね、私も嬉しいですから」
「コトは優しすぎるのォ…それと…アイツが里の近くで目撃されたらしい…もし…」
「大丈夫ですよ。もう、自来也様は心配し過ぎですってば」
そこで会話は途切れた。というより玄関から出ていってしまったので聞こえなくなってしまったのだ。
「あれ、コイツ、オレの話聞いてたか?」
「いーや、こりゃ聞いてねぇな」
アイツとは誰なのか。何だか妙にあのやり取りが気になって仕方がない。自来也様が妙に母さんを気にしていたのも気がかりだ。
「レイー!」
「キバ、顔近ぇ…」
「シカちゃん嫉妬ですかぁー?」
「うるせぇ…」
そもそも自来也様は何故、そのような事を母さんに行ったのだろうか。あの口振りからすると母さんに危害を加えようとしているヤツだと言うのは分かる。しかし母さんは人から恨みを買うような人柄でもないし、特殊な能力があるわけでもない。
「レイ、そろそろ反応してやれ。キバが余りにも不敏だ」
「不敏とか言うなっ!」
「……あぁすまない…で、何か用か?」
「……オレ泣いて良い?」
我に返ると目の前でキバが項垂れていた。シカマルに視線を送ると彼はやれやれと肩をすくめてみせる。申し訳なくなってキバにもう一度謝罪した。