五代目火影
「お、レイちゃんとシカマルじゃねーか」
忍者登録室があるアカデミーに向かう道中、聞き慣れた声が聞こえた。
「こんにちは、シカクさん」
「オヤジ…何でこんなとこにいんだよ」
「ちょっくらアカデミーに用事があってな、お二人さんは仲良くデートかぁ?」
「ちげーよっ!」
シカクさんはニヤニヤしながらシカマルの隣を歩き出す。どうやら一緒に行く事になりそうだ。
「めんどくせーことに中忍になっちまったからその申請に行くんだよ」
「そーいやお前さん達、中忍になったんだったなぁ…レイちゃんはともかくお前がなぁ…」
「うっせーよ…」
「ま、めでたいじゃねぇか、この事聞いたらキオやコトさん喜ぶだろうよ」
ニヤリと笑ったシカクさん。さすが親子だ…としみじみ感じているとシカマルに睨まれてしまった。
「にしてもキオの野郎…オレらを置いて行きやがって…」
三人で並列したままアカデミーに向かっているとシカクさんがぼやいた。横から見たシカクさんの表情は何だか拗ねている子供の様にも見える。
「帰ってきたら三人で絞めてやる…猪鹿蝶の連携なめんなよ…」
うっすら笑みを浮かべるシカクさん。これは下手に相槌でも打てばとばっちりを食らうに違いない。私はシカマルと目を合わせてお互い頷いた。
アカデミーの外にある階段を登って行くと前方から降りてくる四つの人影があった。
「お!ナルトじゃねーか…」
「自来也様も」
降りてきたのはナルトと自来也様と知らない女性二人だった。
「何でお前がこんなとこいんだよ?」
「そっちこそ!何でこんなとこに来てんだってばよ、奥は忍者登録室があるだけだろ!?」
ナルトの言い分はもっともだ。この階段の先にあるのは屋上と忍者登録室があるのみ。シカマルはいつもの様にポケットに手を突っ込んだ。
「実はちょっとめんどくせーことになっちまってよ」
「何だってばよ?」
はっきりとしない物言いに鈍いナルトが察せるはずもなく、ナルトは頭の上にはてなを浮かべていた。
「お、お久しぶりっス、綱手様、自来也様」
シカマルと私の一歩前に歩み出たシカクさんは軽く頭を下げた。
「おお!奈良家のガキか!で…そっちの一人はお前の子供か?鹿の世話はちゃんとやってるか?あの辺の鹿の角はいい薬になる」
「ハイ」
返事をしたのはとびきり美人な女性だった。あまりにも外見が若くて分からなかった。自来也様と同い年のはずなのに。女性とは恐ろしいものだ。20代にしか見えない。
「で…もう一人は…その瞳と髪、キオとコトの娘か!若い頃のキオにそっくりだねぇ」
両親の名前に思わず反応してしまった。自然と俯きがちになる。
突然、コツンと額に衝撃を受け、顔を上げると綱手様の笑顔があった。
「そう心配そうな顔をするな、話は聞いてある。先ほど増援として暗部を送っておいた」
「え…」
「だから安心しな」
増援、その言葉にほっと息が漏れた。
「じゃあな…またそのうちな」
「ハイ!」
綱手様はスタスタと先を歩き始めてしまわれた。その後ろに慌てて続くもう一人の女性…彼女はおそらく綱手様の付き人なのだろう。
「シカマル!レイちゃん!また後で会おーぜ!オレのすっげー新技見せてやっから!じゃな!!」
「コラ、ナルト!忍が術を見せびらかしてどーする!」
「イテ!」
前を歩く二人に続くようにナルトと自来也様も去って行った。
「ふー…」
息を吐いたシカクさんの横でシカマルは不満そうな表情を浮かべていた。
「どうした?シカマル…何か言いたげだな」
「あの女が五代目になるんだってよ。何者だ、あの女?」
シカマルはどうやらナルトからその情報を仕入れたらしい。
綱手様が五代目火影。初耳の情報をゆっくり噛み砕く。私は自来也様とナルトの間から見える“賭”の文字をぼんやりと見つめた。