晴天が似合う
アスマ先生が「何でも答える」と言ってくれたので遠慮なく聞かせてもらった。私が今最もすべき事は現状を把握する事だ。
両親の遺体はテンゾウさんが南賀ノ神社で発見し、持って返ってきてくれたらしい。ただ偽物である可能性がある。父さんが賞金首として有名なせいだ。一応検体を行ったらしいが、何の情報も得られなかったそうだ。
犯人の心当たりを聞くとアスマ先生は首を振った。しかし私には心当たりがある。それは自来也様だ。母さんと彼の会話を忘れるはずがない。
葬儀は明日行われるとのこと。その日は私が答えを出さなくてはならない日でもある。葬儀自体は綱手様が取り仕切ってくれるらしく私が特に何かすることはない。やらなくてはいけない事といったら形見分けのための遺品整理だけだ。
「もう答えは出たのか」
アスマ先生が玄関で振り返った。首を左右に振って答える。
「いえ、まだです」
「そうか…まあ」
頭にアスマ先生の大きな掌が乗った。くしゃくしゃと髪をかき乱される。
「俺の教え子である事は変わらねーからよ、いつでも相手してやるからな」
乱された髪の間からいつもの笑顔が見えた。
天気は晴天。雲ひとつない中、粛々と葬儀は始まった。私は少し離れたところから見守る。
参列者が多すぎて正直驚いた。それほど父さんも母さんがこの里の人たちに慕われていた証拠だ。
「さすがキオさんとコトさんだな」
先程から隣で黙っていたシカマルが口を開いた。彼は昨日病院に運ばれたものの大した外傷はなく参列する事ができたらしい。チョウジは未だ病室の中だ。
彼らがサスケを連れ戻せずに終わった事は昨日、アスマ先生から聞いた。だが彼の表情が優れない理由はそれだけではないのだろう。
「シカマル、寝てないだろう」
「そういうレイはどーなんだよ」
「綱手様から有眠剤貰ったから問題ない」
「……いや問題なくはねーだろ」
並んで葬儀を眺める。彼の目にこの光景はどう映っているのだろうか。
「ちゃんと泣けたのか」
「なんだそれは」
「レイが泣きたい時に泣けないっつーのは昔から知ってんだよ」
「……問題ない」
シカマルの顔がずいっと近づいた。黒曜石の様な目に捉えられる。彼の目の下には薄っすらとクマが出来ていた。
「嘘じゃねぇみてーだな」
本当にこの幼馴染様は末恐ろしい。嘘かどうか、瞳を見ただけで判断できるらしい。彼はきっと私より私のことを知っているのかもしれない。
「サスケがよ」
シカマルは一度言葉を区切った。誰かの泣き声が遠くに聞こえる。
「“首飾りは預かった”っつってたぞ」
そうか、と納得した。サスケとの戦闘中に落としたのかと思い、昨晩庭を探したが見つからなかったのだ。元々は父さんの物だったため彼が亡くなったから消失したのかと考えていたがそうではなかったらしい。
「首飾りってコトさんがいつも付けてたやつか」
「あぁ、母さんが消えた柳の下に落ちていたのを私が預かってたんだ」
「それを何でサスケが持ってんだよ」
怒気を感じ恐る恐る隣を見る。シカマルが静かに怒っていた。何故怒っているのかさっぱり分からない。
「シカマル…?」
「んだよ」
「何故怒っているんだ」
「怒ってねぇよ」
「しかし…」
「つべこべ言ってねーで洗いざらい話せ」
やはり怒ってるじゃないか。そう文句を言いたくなるのを飲み込んで、私は一から彼に全てを話し始めた。