うるさ過ぎる同期
いよいよ中忍試験当日。アスマ先生に見送られ、私たち第10班は試験会場の入口付近で立ち止まってしまった。受験者の数の多さや雰囲気に圧倒される。
「席につこう」
私の言葉に気を取り戻したのか三人はぎこちなく頷いた。空いた席を見つけ、三人に座る様に促す。腰かけようと背中の大刀を下ろした。
その時。背中に刺すような視線を感じた。目を走らせた先にいたのは赤い髪の少年。瓢箪を背負って椅子に座っていた。額当てを額にしていないためどこの忍びかは判別できなかったが、左右にいた忍びがしている額当てから砂の忍びだとわかる。
バチリと視線が噛み合った。何を考えているか分からないその瞳にゾクリと背中が粟立つ。嫌な予感が全身を襲った。
ざわざわと入口あたりが騒がしくなり、弾かれたように赤い髪の少年から目を反らす。
「あっ!サスケくんだわっ!!サスケくぅーんっ!」
同じく弾かれたようにして立ち上がり駆け出したイノ。よくこの人混みで見つけられたものだ。隣のシカマルは深い溜め息を吐いた。
「ったく、めんどくせー…イノのヤツ、サスケが絡むといつもこうだからな…」
「一途で好感は持てるだろ」
シカマルは口を閉じ、何か言いたげな目で私を見た。
「ん?」
「……いーや、何でもねぇよ」
シカマルはぶっきらぼうにそう言い、顔を反らした。
おそらく何か言いたいが言えない。そんな感じなのだろう。言いたくないのなら無理に聞きはしない。
シカマルとチョウジと連れ立ってイノの元に行くと丁度彼女ががサクラに向かって舌を出した所だった。イノもサクラも相変わらずだ。
「なんだよ。こんなめんどくせー試験、お前らも受けんのかよ…」
シカマルがぼやくとナルト達がこちらに気付いた。
「お、レイちゃんと…何だ、おバカトリオか」
「その言い方やめー!…ったく、くそめんどくせー…」
ナルトの発言に不満げなシカマル。チョウジにいたってはスナック菓子を口に運ぶばかりで話に加わる気はないようだ。
「サスケくんは私の物っ!べー!」
サスケに抱きついたまま舌を出しているイノに歩み寄る。
「そろそろ離してやれ」
「えー…久々に…」
「嫌われても知らないぞ」
うっ…と言葉に詰まったイノは渋々サスケから離れた。
「…あのイノがレイのたった一言で…」
サクラが驚いたように隣で呟いた。
雨隠れあたりからの視線を感じ一人溜め息をつく。
そこへ犬塚キバ、日向ヒナタ、油女シノの第8班が合流。ますます騒がしさが増した。
「お、レイっ!後で勝負なっ!次こそは勝つからなっ!?」
何かと私に勝負を持ちかけてくるキバが肩を組んでくる。私はとりあえず小さくうなずいた。シカマルじゃないがめんどくさかっただけだ。私の小さなうなずきを見逃さなかったキバは「よっしゃぁっ!」と喜んでいた。単純すぎる。
その時、私は後方で怪しい動きを感じ取った。さすがにこれだけうるさくしてれば誰かしら文句位言いに来るか。
ただこの怪しい気配は何故か無性に気になる。というよりも脳内で何故か警笛が鳴っている。急いで全神経を背後に巡らし大刀に手をかけた。