第一関門


こちらに歩み寄る人影。それが口を開いた瞬間、大刀の切っ先をそいつの喉元にあてがった。

一秒にも満たないほどの出来事。一瞬にして行動を起こした私を驚くように見つめているのは、目の前のコイツだけじゃない。

「何者だ」

口から出た言葉は思っていたより低かった。

「…驚いたな。別に僕は君たちに危害を与えようとしたつもりはないんだ。ただ五月蝿いもんだから、注意しようと思ってね」

胡散臭く笑う奴に眉を寄せる。ふいに肩が誰かに掴まれた。振り返らなくても誰だか分かる。

「本人がこう言ってんだし、刀下げてやれよ」
「……」
「レイ」
「……わかった」

シカマルのお陰で冷静さを取り戻した。刀を離し一振りしてから鞘に収める。

「ふう…あ、名乗ってなかったね。僕は君らと同じ、木の葉の薬師カブトだよ」

また胡散臭く笑うヤツを一睨みして背を向けた。

▽▲▽


「それと…こいつの情報も知りたい」

突然サスケに指さされ、目を見開いた。他の者も一斉にこちらを見て驚いている。今何の話の最中なんだ。

「こいつはアカデミーの頃は大して目立ったやつじゃなかった。なのにさっきのカブトに向けた殺気と動きは尋常な物じゃなかったのに興味が湧いた」

不敵に笑うサスケに頭を抱えたくなった。キバ以上に面倒な奴に興味を持たれてしまったようだ。

「なるほどね。いいよ、検索してあげる」

薬師カブトがそう言うと手に持っている何枚かのカードの内、一枚を引き抜いた。ここからの位置だと内容までは分からないが、ご丁寧にも読み上げてくれる。

「木の葉の下忍、水無月レイ。今回の試験で最年少参加者だ。まあ班内でもチームリーダーを務めているようだし、僕から見てもこの中で一番落ち着きがあるんじゃないかな。任務経験はDランクが6回、Cランクが2回。扱いの難しいとされる翠玉眼を常に開眼していて、気配察知と素早さなら下忍の中でも群を抜いてると言える。この下忍試験のダークホースと僕は思ってるよ」

なんだこれ。再び頭を抱えたくなった。

一応、説明補完させてもらうと、翠玉眼というのは水無月一族の稀なる血継限界だ。開眼すると瞳の色が薄緑色になる。格段に動体視力が上がり、瞬身の術より速い移動が可能になる。

この瞳術が使えるのは父と私のみ。大変希少価値が高いとされている。

父は若い頃修行を積み翠玉眼を得たらしい。しかし翠玉眼は不安定な瞳術で扱いが難しいため、まだ完璧には使いこなせないと言っていた。

私は生まれたその瞬間から翠玉眼は開眼していたため扱いで困ったことは一度もない。私の目は常に薄緑だ。


そうこうしている間に中忍試験第一試験の筆記テストが始まった。

私達、第10班は情報収集能力を持っているのはイノだけだ。ゆえにこの試験はイノに頼らざるを得ない。そして先ほどイノの心転身の術にて解答用紙は綺麗にうまった。

後は最後の10問目が出題されるのを待つのみ。試験開始から45分、試験監督が口を開いた。

「ふっ、クズはあらかた落とし終えたか…それじゃあ問題を…45分たったし始めるか…よし!これから第10問目を出題する!」

試験監督はカッと目を見開き朗々と叫んだ。ちなみに試験監督の名前は忘れた。
イノとシカマルとチョウジが静かに聞いているのを確認し、もう一度試験監督に向き直る。

強面の試験監督がニヤリと笑った。


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