東西南北四面楚歌



シードラモンとの戦いはガブモンがガルルモンに進化した事で形勢逆転し、勝利を収めた。
そしてゴマモンがマーチングフィシーズで陸から離れた島を動かし元に戻した。

また島が動かされたら溜まったもんじゃないと子供達は島から離れることに。

「はあ〜疲れた〜」

ミミが言うように皆ぐったりしていた。無理もない。夜通し戦っていたせいでほとんど皆寝ていないのだから。

「でもどうして今度はガブモンだけが進化したんでしょうね…」

光子郎の言葉に横になっていた空は何かに気づいたのかガバッと起き上がった。

「もしかするとヤマトくんがピンチだったから?」

たしかにガブモンが進化した時、ヤマトはシードラモンのしっぽに締め付けられ、絶体絶命だった。
思い返せばシェルモンとの戦いも太一が絶体絶命のピンチの時にアグモンがグレイモンに進化した。

「彼らが進化するのは僕たちに大きな危機が迫った時ですか?」
「そーよ、きっと」

空と光子郎が話している横で、ミミがルルにもたれ掛かって瞼を閉じてしまった。支えているルルの方もあくびが止まらない様子。

「お姉ちゃん、眠いの?」
「うーん…もう疲れた…ここで寝る…」

少し前まで布団がないだのお風呂に入りたいだの文句ばかりいっていたミミの面影はない。

「たった1日ここで過ごしただけなのに、たくましくなったね」
「私みたいな翼も生えてくるかもね!」

空とピヨモンがそう言うとミミはルルの肩口に顔を押し付け、「そんなのいやぁ…」と呟いた。

膝にレオルモン、右肩にミミ、左腕にパルモン、背中にはアグモン。四方八方を囲まれたような状態のルルは身動ぎすらできなかったが、何故か胸のあたりが温かかく感じた。

気づけば周りは寝静まっていた。ルルも眠気がピークに達し、瞼が落ちる。遠くでまたハーモニカの優しい音色が聞こえた。


→→→



十分に睡眠を取れた子供達は目的地はないものの、とりあえず出発することにした。

休みながら歩き続けていた途中、彼らの頭上を黒い何かが通過していく。

「歯車みたいだったな」
「空飛ぶ円盤じゃないの?」
「歯車型の隕石だったりして」
「隕石ならどこかに墜落するんじゃない?」

口々に意見を言い合い、雑談も交えながら再び歩き始めた。
そこでテントモンの豆知識が披露され、デジモンによってそれぞれ性格が違う事が判明した。

ルルは歩きながらそれぞれのデジモンを考えてみる。
アグモンはのんびり屋。せっかちな太一さんと相性が良さそうだ。
ガブモンは他人想い。ヤマト先輩に似たのだろう。
ピヨモンは甘えん坊。皆んなの世話をよく焼いている空さんにしか支える事ができないかもしれない。
テントモンは物知り。知りたがりの光子郎くんとはいいコンビになりそう。
パルモンはマイペース。お姉ちゃんと一緒にいたらどんどん二人で行ってしまいそうだ。
ゴマモンはやんちゃ。一見堅苦しい丈さんと相性が悪そうだが、丈さんが変わるきっかけになるかも。
パタモンは他のデジモンに比べて幼い。そこはタケルくんと一緒らしい。

そして。右を向くと我が物顔でルルの肩に居座るレオルモンが目に入った。

「なんだよ」
「なんでもないよ」

レオルモンは正直よく分からない。
やんちゃ、心配性、ぶっきらぼう、寂しがりや。どれも当てはまるがこれといったモノはない。

「あっつ〜い…」

前を歩くミミの歩調が遅れ始めた。
進んでいるうちに気づけば電柱が乱立しているサバンナのような所に来ていた。

手を繋いで少し引っ張りつつ並んで歩く。

「ここはどこなのよ〜…」
「そういえば…お姉ちゃんのサバイバルセットに何か使えそうな物、あるんじゃない?」
「……あ!そうだ!」

パッと手を離し大きなカバンを漁り始めた。列から遅れてしまわないよう、ルルはカバンのバックル部分を引っ張り誘導する。

「じゃじゃーん!」
「ミミ、それなあに?」

ミミが得意そうに掲げたのは方位磁石だった。

「これはね〜え、方位磁石っていって、今どこにいるか分かるすごーい物なの!」
「へー!なんか凄いんだな!」

レオルモンが身を乗り出した。
多少誇張されている表現だが、ルルがミミの意見をわざわざ否定するわけない。
列が止まったのを見計らってミミが意気揚々と歩き出した。

「ここは一体どこでしょう!ジャーン!」

皆んなの前に方位磁石を突き出す。ミミの周りを囲んで方位磁石を覗き込むと針は高速で回転し始めてしまった。

「いや〜ん、なにこれ〜!」
「砂みたいに見えるけど、これよく見たら鉄の粉だ。磁石にくっつきますよ」

光子郎の分析にミミはがっくりと項垂れる。これでは方位磁石が機能しないわけだ。
空は途方にくれ天を仰いだ。

「やっぱりあたし達、とんでもない所に来ちゃったのかしら…」


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