甘さ多めのココア



歩いても歩いても終わらないサバンナに子供達とデジモン達の体力と水分がどんどん持っていかれる。

ゴマモンが一番辛そうなのに対し、一番元気そうなのはレオルモンだった。
少し前、辛そうなルルの肩から降り歩き始めたのだが足取りは誰よりも軽い。
ルルが最初から歩けばいいのにと思ったのは言うまでもない。

「帽子貸してあげようか?パルモン」
「ありがとう…」

パルモンの上に咲く花は萎れており見るからに元気がない。
ミミは帽子を取ってパルモンに被せた。「似合うじゃない!」とパルモンを励ます余裕さえ見せる。その成長を見て空も感激の声をあげた。

ルルにとってその一連の出来事は衝撃だった。思わず立ち止まり瞬きを繰り返す。

「ルルさん?どうかしましたか?」

心配する光子郎に「なんでもない」と誤魔化して再び歩み始めた。

ミミは本来優しい性格なのはルルが一番知っている。しかしそれは本当に仲が良い者にしか見せない一面だと思っていた。
それがどうだろう、昨日今日知り合ったパルモンを自分が犠牲になりながらも助けたのだ。

この世界に来て急激に成長しているのか、あるいはパルモンがもう本当に仲の良い者の一部になっているのだろうか。

ルルは急激に気分が悪くなり、羽織っていたパーカーのフードを頭に被せた。

「もうへばったのかよー」
「…そんなんじゃないよ」

隣から野次ってくるレオルモンに一言答えるのが精一杯でそれ以降黙ってしまう。レオルモンもそれを察し、心配そうに様子を伺いながら横を歩き続けた。


歩き続けた子供達の目の前に現れたのはピョコモンの村。
人間の村だと期待した丈は一層残念そうだ。村の全てがピョコモンサイズで泊まらせてもらう事も、家に入る事すらできそうにない。

一同落胆するが、ピョコモン達がご馳走を振舞ってくれると聞き、手のひらを返すように喜んだ。
早速水を!と噴水に向かう。飲もうとしたその時。水が炎に代わって吹き上がって来た。

「「うわぁ!」」
「そんな!喉乾いてたのにぃ!」
「まだお水飲んでない!」

嘆きの声が上がるがどうしようもない。ピョコモン達も原因が分からないらしく狼狽えた。
しかしまだ水を蓄えている池があるらしい。ピョコモンに連れられそこに向かうと池も炎の影響を受け干上がってしまっていた。
井戸に桶を垂らすがそれも炎の餌食になってしまう。

一体全体どう言う事なのか。
ピョコモン達の証言や意見を聞いていると、どうやらミハラシ山に落ちた歯車とミハラシ山を守っているメラモンが原因のようだ。

「ミハラシ山だな、見てみようぜ!」

意気揚々と太一は単眼鏡でミハラシ山を覗いてみる。すると山頂付近から火の柱が上がった。そこから小さな炎が山の斜面を駆け下りている。

「なんだ!あれ!」

太一は思わず単眼鏡から目を離した。

「メラモンが山から降りてくる!」
「メラモンが山を降りてきた!」
「どうして!」
「いつものメラモンじゃない!」

ピョコモン達が口々に言う。
見ればメラモンが走り抜けた後は火の海になってしまっている。あまりの迫力に全員呆気に取られてしまう。
どんどん近づいてくるメラモンにいち早く危険を感じたのは太一だった。

「みんなー!逃げろーー!」

空を裂くような叫び声で皆気を取り直す。急いで大勢のピョコモン達と共に逃げ始めた。

とりあえず身を隠すことができるだろう、池の底にあった難破船へ避難する。

船頭に立つとこんなにもピョコモンがいたのかとルルは驚いた。

「足元に気をつけて!」
「いやぁ〜!」
「お姉ちゃんしっかり!」
「大丈夫かみんなー!」

ヤマトがピョコモン達を手助けしているのを見てルルも手伝い始める。しかし運んでも運んでもキリがない。

「なんかやばいな…」

そう言う丈の背中には何匹ものピョコモンが背負われており、ルルはギョッとした。
この先輩、意外とやる時はやるのかもしれない。ルルは印象を改めておこうと心に決めた。


避難し終わりそうになった時、空が突然駆け出した。

「空!どうした!」
「戻ってこい!空!」

太一とヤマトが止めるが空の耳には入っていない。
崖の上でピョコモンを誘導していたピヨモンが一息ついているとその背後からメラモンが現れた。

いち早く気づいた空が声を上げるがすでに遅い。メラモンに攻撃されたピヨモンは崖を転がり落ちる。地面に叩きつけられそうになったところを間一髪。空が抱きとめた。

その後空の元を飛び立ち、ピヨモンがメラモンに攻撃を始めると皆加勢する。
しかしメラモンには全く効果がないようだ。むしろ攻撃されたエネルギーを吸収し、どんどん大きくなっている。

巨大化したメラモンが崖から飛び降り、絶体絶命。その時、空のデジバイスとピヨモンの体が光り始めた。

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