視界はカランコエ



テントモンが提案したのは電力室でプログラムをコピーしたのを再びやってみないか、というもの。
1回目の時はテントモンの体が熱くなっただけだったが、今度は違った。光子郎のデジバイスとテントモンが光り輝き、テントモンは見事カブテリモンに進化。アンドロモンとの戦いを勝利した。

その際に子供達は再び黒い歯車を目にすることになる。
様子が元に戻ったアンドロモンに話を聞くと、やはり黒い歯車が原因だった。

ここはどこなのか、どうしたら元の世界に戻れるのか、賢いアンドロモンに問いかけるもののアンドロモンも答えを知らないとのこと。けれどこのサバンナの様な地帯から抜け出す方法を教えてくれた。

アンドロモンの親切さに感謝しつつ、子供達は案内された地下水道を進んでいく。
ジメジメしているものの、外の暑さに比べたらいくらかマシだった。

「レオルモン、歩きなよ」
「そうだそうだ!レオルモンはいっつも肩に乗せてもらってて、ズルいぞ!」

また肩に乗っているレオルモンに文句を言うとゴマモンが加勢してくれた。

「いやだね!オレはこういうジメジメは性に合わないんだ!」
「そういう問題じゃなーい!」

どうしても降りないつもりのようだ。ゴマモンと顔を見合わせ、やれやれと肩をすくめる。

「ねえ、光子郎さん。さっきパソコンでテントモンを進化させたんでしょ?」
「そうだよ」
「ボクのパタモンも進化させられるの?」
「できるかもしれないな!」

光子郎はさっそくパソコンを広げてみた。しかし歩いているうちに電源が落ちてしまう。
故障ではないようだが原因は不明。光子郎が頭を悩ませていると、アグモンと太一が「叩けば直る!」と豪語した。両サイドから襲って来る一人と一匹の手を光子郎はすんでの所で躱す。

「あんた達の能天気は叩いても治らないわよ」

空の呆れた声に子供達は笑い声を上げた。お互いを殴っしまったアグモンと太一はとほほと肩を落とす。

光子郎のパソコンが工場から離れると使えなくなったその事実が、この世界を解く鍵となるのをまだ誰もきづいていなかった。


→→→


しばらく地下水道を進んでいく子供達だったが、途中ヌメモンの群れに追われてしまい、再び暑いサバンナ地帯を歩くことに。

せめてもの救いは川があることだろうか。川ぞいに歩みを進めていくと、沢山の自動販売機が並ぶ地帯にやって来た。

「ミミ、まさか飲みたいなんて…」
「そのまさか!行こうルル!」
「ちょっとお姉ちゃん!」

コーラが飲みたい一心のミミは他の子供達をよそ目に走り出す。ぐいぐいとルルを引っ張る様子はいつもと真逆だった。

しかしそこもヌメモンの住処。ちょうど太陽が陰り、本日二度目になるヌメモンの群れに襲われてしまう。
反撃しようにも汚物を投げつけられてしまったら反射的に逃げるしかない。

ヤマトの掛け声で散り散りになる子供達。その中でミミとルルは手を繋いだまま一緒に逃げていた。

森に逃げ込み木の陰に身を隠す。その隙にパルモンとレオルモンが反撃しようと構えると、ヌメモン達は尻尾を巻いて逃げてしまった。

「可笑しいな…まだ何にもしてないのに…」
「オレも…」

むしろその逃げ足の速さにこちらが呆気にとられてしまう。

すると今度は後ろから地響きと共にもんざえもんが現れた。
おもちゃを愛するおもちゃの町の町長。そんな肩書きから良いデジモンかと思いきや、何故か攻撃して来る。

「良いデジモンがどうしてあたし達を攻撃するの!」
「わからないー!」

二人と二匹は必死で逃げるが追いつかれるのも時間の問題。
ルルは繋いでいた手を離した。

「ルル?!」
「お姉ちゃん行って!少し足止めしてからすぐ追いつくから!」
「でもルルが!」
「オレがルルを守るから!」

なおも食い下がろうとするミミだったがさすがに今が緊急事態なのは理解している。

名残惜しそうにミミとパルモンはその場を離れた。
対してその場に留まったルルとレオルモン。もんざえもんを迎え撃つがレオルモンの攻撃は全く歯が立たない。

「ラブリーアタック!」

もんざえもんの攻撃、ラブリーアタックにより辺りが青いハートに包まれた。ルルはミミが逃げた方とは別の道へ駆け出す。

「レオルモン!こっちに逃げるよ!」
「ルル!危ない!」

レオルモンの焦った声が聞こえたかと思うと、視界は青に包まれた。

お姉ちゃんは逃げられただろうか。パルモンがいるから大丈夫か。せめてレオルモンだけでも逃がしてあげればよかった。

様々な後悔を抱えながらルルは意識を失った。


→→→


気がついた時には全て事が片付いており、日も傾いている。
しかもミミとパルモンが活躍しもんざえもんから黒い歯車を取り出したと聞き、皆驚いた。あのヌメモン達がミミを守り、パルモンがトゲモンに進化した事も驚きである。
ルルは衝撃の事実にしばらく言葉を発せずにいた。

「ルル〜!大丈夫だった?」
「ルル!心配したぞ!」

ミミとレオルモンから交互に抱きつかれ、ルルは力なく笑う。

「ごめんね」

もんざえもんは思い上がってしまったと言っていたが子供達はその原因が黒い歯車である事にすぐ気がついた。これで三度目だ。

その後、本物のラブリーアタックで皆んな幸せな気分を味わった。

ふわふわ浮遊する赤いハートの中では考えることを許されない。気持ちもふわふわしてきて、どうでもよくなる。
ルルはそれが少し怖くなり瞼を閉じた。


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