反射神経とは何か



自分のピンチになったらレオルモンも進化するのだろうか。
ルルはレオルモンを盗み見た。相変わらず我が物顔でルルの肩に居座っている。
彼女はミミを守ることはあっても、誰かに守られるような経験がない。そのためか、あまり実感が湧いていなかった。
自分がピンチになったら…この子は逃げるんじゃないか。漠然とそう考えていた。

「よーし、この辺で昼飯にするか!」
「そうだな」
「さんせー!あたしもうお腹ぺこぺこ…」

太一の提案に賛成の声をあげた。近くには広い川もあり、食料も確保しやすそうだ。
もう慣れたもので食料確保のため、それぞれ分かれて行動する。

この辺りは食べられそうなキノコがないとパルモンが言うので、ミミとルルは魚釣り班に加えてもらうことになった。

しかしミミは虫を糸に括り付けるのができない上に魚も触れない。光子郎はどうしようかと考え込むが、ルルがさらりと代替え案を出した。

「ならタケルくんと一緒に貝拾いをお願いしても良い?」
「そうですね、川下なら魚釣りにも影響しませんし」

さすが長年一緒にいるだけあり、ミミの扱いには誰よりも長けている。

楽しそうに川下へ駆けて行くミミとタケルを見送り、ルルと光子郎はさっそく魚釣りに取り掛かった。

「何かコツとかある?」
「いえ…特には…強いて言うなら少し動かすことでしょうか」
「うわっかかった!」
「ルル!がんばれ!」

魚がさっそくかかり、奮闘するルル。それを鼓舞するレオルモンは何故かいつもの肩ではなくルルから離れたところにいる。
釣り終えてひと段落してからルルは振り返った。

「レオルモン、何でそんなに離れてるの?」
「別にいいだろ!」

ツーンとそっぽを向くその姿にルルと光子郎は頭の上にハテナを浮かべる。一体どうしたというのだろう。

「レオルモンは水が苦手なんですわ」
「おい!テントモン!」

ああ、と二人は納得した。だから湖でルルの帰りが遅くて心配はしていたものの、ガブモンに代わって呼んできてもらったのか。

「なら他のデジモン達と一緒に果物を取りに行けばよかったのに」
「…ルルの近くにいたかったんだ…悪いか!」

照れているのかレオルモンは消えそうな声で答えた。その様子がなんだかおかしくてルル達は思わず笑い出してしまう。

「笑いたきゃ笑え!ばか!」

他愛もない話をしながら、ほぼ入れ食い状態で魚を釣り続ける。
人数分強の魚を釣り終え、皆んなの元に戻ろうとしたその時。

「ミミさん!」
「ミミっ!!」

タケルとパルモンの悲鳴が聞こえた。ルルは持っていた竿を投げ出し、一目散に川下へ向かう。光子郎とテントモンとレオルモンも慌てて追いかける。

ルルがタケルの元に到着するとミミが川で溺れていた。パルモンが蔦を伸ばし、ミミに声をかけているがパニックを起こしているミミの耳には届いていない様子。

タケルの説明も聞かず、ルルは反射的に川に飛び込んだ。

「お姉ちゃん!」
「助けて!助けて!」
「落ち着いて!」

パニック状態に陥っているミミはルルの言葉すらも聞こえていない。ルルはミミを抱え、急いで浅瀬に運ぶ。
その頃になってようやく光子郎達が到着した。

「光子郎さん!」
「一体どうしたんです?!」

泣きそうなタケルから訳を聞くと、遠浅になっているのに気付かず貝拾いに夢中になってしまったのだという。

しかしもう安心だろう。今、ようやくルルが浅瀬でミミを落ち着かせているところだった。

心配したパルモンがミミに駆け寄る。誰もが一息ついたその時、レオルモンが声を上げた。

「ルル!後ろに何かいる!」

ルルの背後は水深が深い。恐る恐る振り返るが何もいなかった。

「いないけど…」
「違う!下!」
「え?うわっ!!」

一瞬の出来事だった。水面から顔を出していたルルが姿を消してしまう。

「「ルル?!」」
「「ルルさん!」」

突然の事態に名前を呼ぶことしかできない。青ざめたミミが深い方へ駆け出そうとした。

「いやっ!ルル!!」
「ミミ!行っちゃダメ!」

慌ててパルモンが止める。パタモンが緊急事態である事を察し、他の場所にいる皆んなを呼びに飛び立った。


その頃ルルは水中で攻防を繰り広げていた。
彼女を水中へ引きずり込んだ正体はザリガニのようなデジモンだった。なんとか振り切って水面から顔を出す。

「「ルル!」」
「大丈夫ですか?!」

ルルは何とかこの危機を伝えようと叫んだ。

「早く逃げて!デジモンが」

言っている途中、ルルの背後から先ほどのデジモンが飛び上がり姿を現した。

「エビドラモンや!」



パタモンに誘導され、駆けつけた太一達が目にしたのは、エビドラモンのハサミに捕らえられたルルの姿だった。

「「ルル!」」

口々に名を呼ぶが、ルルは苦しそうに呻くばかり。か細い声で「にげて…」と言っていたがその声が聞こえていたのは若干名だった。

攻撃をしようとするものの、ルルがいるため存分に力を発揮できない。

レオルモンはルルのピンチ、という事より何よりも腹が立っていた。
パートナーを傷つけているエビドラモンに、いつもミミを守って自分を犠牲にするルルに、いつも助けてもらい双子の妹に甘えているミミに。一層腹がたつのは水が怖くて川にすら入って行けない弱い自分。

「ルルーーーー!!!!」

レオルモンが咆哮した時、ルルのデジバイスとレオルモンが光始めた。

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