レオルモンはライアモンに進化した。即座にエビドラモンのハサミの付け根に噛み付く。
「クリティカルストライク!」
必殺技が功を成し、エビドラモンはハサミを緩めた。その隙にルルを背中で受け止め、岸に下ろしてやる。
「レオルモン…?」
ルルは呼び慣れた名でライアモンを呼んだ。ライアモンは直ぐ振り返り、攻撃してきた敵に対抗する。倒れ込んだままのルルにミミとパルモンが駆け寄った。
「ルル!大丈夫?!」
「私より…お姉ちゃんこそ平気?」
「うん!平気!ルルが無事で良かった…!」
ゆっくり抱擁を交わしている暇はない。その間にライアモンがエビドラモンのハサミに挟まれ、川に引き摺り込まれようとしていた。
なんとかもがいているものの、水が苦手と言っていただけあり苦戦している。
「ライアモン!」
ルルは思わず浅瀬に入って応援する。それが目に入ったライアモンはなんとか振り切り、岸に上がることができた。
「ツインネプチューン!」
陸に上がり、本来のスピードで戦えるようになったレオルモンはエビドラモンの追撃を避ける。一方、攻撃を外したエビドラモンのハサミは地面にのめり込んでしまった。
この機会を逃すまいとルルは思い切り叫ぶ。
「ライアモン!今だ!」
「分かった!サンダーオブキング!」
レオルモンはタテガミに溜めた電気を一気に放つ。その強烈な電流はエビドラモンに直撃した。
まともに喰らったエビドラモンは近くの岩に叩きつけられ、意識を失ってしまう。
その背中から黒い歯車が飛び出し、粉々に砕け散った。この光景を目にするのはこれで4回目だ。
こうしてライアモンが勝利を飾った。子供達は皆、喜びの声を上げる。ライアモンはレオルモンに退化し、大切なパートナーの元へ駆け寄った。
「レオルモン!」
「ルル!」
お互いの名を呼び合い、抱き合うかと思いきや様子がおかしい。子供達は遠巻きに様子を見ることにした。
「ルル!この際だから言わせてもらう!」
「は、はあ」
「ルルは自分を大切にしなさすぎだ!もっと考えて行動しろ!」
「…すいません」
どうやらレオルモンは帰ってくるなり説教を始めているらしい。ルルは何故か正座している。
「まあまあ、レオルモン…」
見かねたパルモンが間に入るがレオルモンの怒りは収まらない。キッとパルモンを睨みつけた。
「パルモン!」
「はっ!はい!」
「ミミから目を離すな!じゃないとルルが守ることになるだろ!ミミを守るのはパルモンの役目だろうが!」
「ごめんなさい…」
パルモンは完璧巻き添えを食らってしまう結果に。
ガミガミガミガミ。説教は止まる事を知らない。
「そんなに怒らなくても…」
ミミも仲裁に入るが、それが仇となった。さらに火力を増し、烈火のごとくレオルモンの説教に力が入る。
「ミミもミミだ!」
「あたし?」
「いつもいつもルルに頼って!もう少し独り立ちしろ!」
「あのねえ!あたし達双子の関係に口出さないでくれる?」
カチンと来たのか、前者達とは違いしっかり反論する。レオルモンも負けてない。
「双子だかなんだか知らないが頼るにも限度がある!」
「なにも知らないくせに!」
「ちょっとお姉ちゃん…」
今度はルルが仲を取り持とうとするが「「ルルは黙ってて/ろ!」」とはじき出されてしまった。
どうなることやらと他のデジモン達と子供達はハラハラ見守っていると、言い合いしている中、レオルモンが叫んだ。
「ルルはいつもお姉ちゃんお姉ちゃんって!もっとオレに構え!!!」
途端にその場がシンと静まり返った。言い合っていたミミも、言った張本人も、見守っていた皆も、瞬きを繰り返す。怒っていた理由は全てこれにあったのだろうと全員悟った瞬間だった。
口が滑った事に気付いたレオルモンは顔を真っ赤に染める。
「なーんだ、レオルモン、ヤキモチ焼いてたのかー」
早速ゴマモンが茶化し始める。ガブモンやピヨモンもそれに加わり、辺りは笑い声に包まれた。
レオルモンは「ちっ違う!そうじゃない!」と否定しているものの、顔が全てを物語っている。そんな顔では全く説得力がない。
その様子を見守っているルルの隣にヤマトが並んだ。
「レオルモンの言ってた事は一理あるな」
「え?」
「もう少し自分を大事にしろ」
ヤマトを見上げてルルは瞬きを繰り返す。すると今度は反対側の隣に空が寄って来た。
「そうね、ルルちゃんはミミちゃんが一番って感じでたまに危なっかしいのよね」
「空さんまで…」
「もう少し周りを頼って良いのよ?」
ルルは空の言葉を脳内で繰り返す。周りを頼る…それは自分の頭の中にカケラもない考え方だ。心に刻みつけておこう。そう心に決めた。
「そうそう!」
「うわっ!」
突然、太一が後ろからルルの頭を力強く撫で始めた。少しバランスを崩しそうになるが太一はお構い無し。
「助けて欲しい時は助けてくれ!って言えばいーんだよ!」
揺れる視界の中でルルは胸に込み上げるものを感じた。未知の感情だが、悪くない。
口を開いたら何かが溢れそうで、ただ頷くことしかできなかった。