努力は裏切らない

毎日、今日の試合の相手はどんなチームだろう、無事に勝てるだろうか、そう思いながら目覚める。

昨日の夜、従姉妹姉妹から激励の電話があり「鳴に勝ったんだし優勝できるよ!」とまで言われてしまった。
それは優勝するしかない。だって美人の期待は裏切れない。

めいちゃんこと鳴はまだ塞ぎ込んでいるらしい。よっぽど私に負けたのが悔しかったんだろう。これは以前のように話せるまで時間がかかりそうだ。


そんな事を考えている内に試合終了。
今日のチームは"なおくん"と言う選手がチームを牽引している印象だった。
なかなか手強く投手戦になったが、もちろん勝利した。
だって相手は所詮小学生。仕草や目線でどんな球が来るか、どんな球を狙っているかなんて一目瞭然。
こちらも小学生であることには変わりないのでミスはあるけど。

その後、私達のチームは順当に勝ち進んでいき、準優勝という成績を収めた。

決勝戦、大事な場面で仲間のエラー。そこからミスが続き、負の連鎖を断ち切れず逆転負け。悪夢を見ている心地だった。

チームメイトが泣き続ける中、私は焦燥感に駆られた。私は皆んなより少し高い所で何をしていたのだろう、何を見ていたのだろう、何も出来なかったのは何故だろう。帰り道、私はチームメイトの涙を拭う事しか出来なかった。

家に帰り夜ご飯の支度をしているとお父さんが帰ってきた。「よくやった」と声をかけてくれるだろうか。そんなの今の私にとって一層苦しくなるだけである。

「眞白!食べ終わったら練習するぞ!」

笑顔を浮かべる我が父親に一瞬気が抜けた。そうだ、この人はそういう人だった。

「努力は裏切らないからな!今回は努力が足りなかった!そういうことだ」


大会中、思ったのはどんなチームにも一人か二人はハッとするような野球センスを持っているという事。
印象に残っているのは「ヒャハッ」と不思議な笑い方をする俊足の子、打席でブツブツ言いながらも私のストレートを打った子、楽しそうにキャッチャーをする眼鏡の子、黒人の血が入っている子。
彼らはきっとシニアに行っても高校野球に行っても活躍するに違いない。将来が楽しみだ。

大会が終わり一つ上の先輩が引退しシニアにいってしまった。
私としては控えのキャッチャーに転向してもいいのだけれど、伸一郎君が「眞白さんがエースなんでしょ?」とか言ったせいでチームメイトも監督もその気になってしまった。
もう少し“エースで四番”を務めなきゃならなそうだ。