学校行事も大切に

今日は6年生にとって小学校最後の運動会。
私が出場するのは選抜リレーと借り物競走のみ。テツ君も同じラインナップだ。この子といい、鳴といい、何でこうも小さい子は真似したがるのだろうか。まあ可愛いからいいけど。

私たちのチームカラーは青。青をまとったテツ君は尚一層男前に見える。背も伸びてきて端正な顔立ち、そりゃあ女の子達が騒ぐのも無理ない。…無愛想なのが玉にキズだけど。

前の競技が終わり、借り物競走がスタートした。次々にスタートしていく。借り物の内容は“眼鏡”、“タオル”、“水筒”など。たまに“好きな人”などの変わり種もあり、盛り上がりは増していく。

着々と私の出番が近づいて来た。スタートラインに立ちピストルの音と共に走り出す。ボックスからカードを引き抜くと、カードには“後輩”と書かれていた。

後輩…そう言われて一人の顔が思い浮かぶ。三年生の席へ向かって一直線に走った。

「マサ君!来て!」
「シロ…?」

戸惑うマサ君に説明する暇すら惜しい。手を引いて再び走り出した。
ゴールにいる先生にカードを見せ、ゴール認定を貰う。

「後輩って言ったらマサ君しか思いつかなくて…学校でもリトルでも後輩だし…走ってくれてありがとう」

最近マサ君は私のリトルチームに入ってくれたのだ。テツ君は中学から始めるらしいし、着々と野球仲間が増えてくれて嬉しい。

「シロ、兄貴が走る」
「ホントだ…テツ君ファイトー!」
「兄貴!頑張れー!」

マサ君と声出しして応援する。カードを引いたテツ君は一直線で走り始めた。しかもこちらに。

「またマサ君かもよ?走るの2回目だね」
「兄貴と走んのヤダ…」
「えー…」

「シロっ!!!」

目の前に現れたテツ君は鋭く私の名前を呼んだ。え、私?

戸惑いながら手を引かれてゴール。マサ君はこんな気持ちだったのだろうか。
走り続けるテツ君の横顔は凛々しく頼もしく…こんな立派になって…と感動してしまった。お母さんじゃないけど。

「テツ君、カードになんて書いてあったの?」
「………」
「あれ?!無視?珍しいね?!」

運動会の大トリである選抜リレーはアンカーのテツ君がしっかり走りきり優勝。カッコ良すぎて思わず頭を撫で回した。


運動会の次の日、学校は振替休日。まあ学校はなくても野球の練習はある。

「眞白さん!投げて下さい!お願いします!」

走り込みが終わった直後、伸一郎君が詰め寄って来た。君は元気だな。

最近こういうのが増えた。一つ上のキャッチャー君が卒業してから尚更私に食いついてくる。ただ敬語なのは最初だけ。口が悪いこと悪いこと。何度言っても聞きゃしない。

「ノック終わった後、投球練習だしその時ね」
「あざっすっ!!!」

こういう熱血を前面にだしてくるタイプは周りにあまりいないから戸惑ってしまう。ああ、けどお父さんに似てるかもしれない。

ノックが終わり投球練習が始まった。マウンドに立つ時、私はスイッチを入れ替える。もはや習慣になってしまった。

「球、早くちょーだい」
「相変わらずマウンドだとこえーな…」
「何か言った?おチビキャッチャー君?」
「おいテメェ!」
「はい!ミット下がったー!音も綺麗に出てないよー?」
「うるせえ!もう一球!」