私たちのチームは勝ち進み、関東大会へと駒を進めた。鳴のチームは準決勝で敗退し対戦する事はなかった。
そして関東大会初戦の相手は神奈川。
最終回の6回裏、ツーアウトランナー三塁、一点ウチが勝っているためこの回守りきれば勝ちが決まる。
止まらない汗を拭って、首を振る。そうじゃない、伸一郎。この打者はそんな簡単に打ち取れない。
バッターボックスに入っているピンク頭の少年を見下ろす。
この子は守備も上手いしミート力もそれなり。体が小さいのにそんなハンデ、物ともしてない。相手チームの中で一番警戒すべき打者だ。
君にこの球は打たせないし、打たせるつもりもない。そう強い思いを持って振りかぶる。左腕を振り下ろし指先に渾身の力を込めた。ボールは私の指先を離れ、バットの下を通り、キャッチャーミットに収まる。
「ストライーークッッ!!バッターアウト!」
「っしゃあ!!!」
伸一郎のガッツポーズに吊られてつい私も拳を握ってしまった。
「マウンドにいる時、眞白ちゃんって鳴そっくりよね」
「たしかに!」
「はあ?!どこが?!ねーちゃん達適当な事言わないでよ!」
今日は舞お姉ちゃんと澪お姉ちゃんと鳴が見に来てくれた。ちょっと騒がしいけど。
「あーあ!早く負けてくんないかなー!そしたら直ぐオレのマネージャーさせんのに!」
「負けてもならないからね?」
「えーーっ?!まだ言ってんの?シニアなんかに行っても絶対登板させてもらえないよ?眞白がどんなに凄くてもね!」
………。今、あの鳴が私を認めた?
あっけに取られていると両サイドから小突かれる。
「鳴は大好きな眞白ちゃんが紅一点でいるのが心配なだけだから」
「そうそう、実は家とか学校で眞白の自慢ばっかり話してるしね」
「うるさいなあ!ねーちゃん達は黙っててよ!」
ここにもお母さんを取られて拗ねる子供が1人…か。テツ君といい、マサ君といい、育て方間違えたかな。
チームは勝ち進み、関東大会準優勝という結果で幕を閉じた。やっぱりここぞという時にエラーが出てしまうのは未熟さゆえか。今回のエラーは私も絡んでしまったし情けないに尽きる。
「伸一郎…」
「うるせぇ!謝んなよ!オレが後ろに逸らしたのが悪りぃんだから!お前は!眞白さんは悪くねえ!」
涙が止まらない伸一郎の頭を軽く撫でる。ごめんね、夢最後まで見せてあげられなくて。不甲斐ないエースでごめんね。