女子校という場所はもっと窮屈なものかと思いきや案外上手くやれていた。
男ばかりの環境で育ってきたせいで染み付いた何かがあるのかと構えていたがそれもなく、女同士のいざこざもなく、いたって平和。ただ年頃の女の子にしたら少々慎みが足りないけど。まあ私が言えたことではない。
あと追記したいことは…
「眞白さんだ…」
「あれが噂の眞白さん…」
「尊いわ…」
何故か女子校に来てモテ期到来。特に何かした覚えはない。むしろ美少女なのでは?お母さんの遺伝子のおかげで最近ますます美少女に磨きかかってきたよ?
これにより新学期早々、友達ができなかったのは言うまでもない。またぼっちかよ。テツ君転校してこないかな…あ、ここ女子校だ…
「ってわけ、だからテツ君女装しない?」
「事情は分かるが…断る」
数ヶ月ぶりに再会した幼馴染は冷たかった。まあそんな冗談は置いといて。
「どう?学校は。友達できた?」
「シロよりはできたな」
「なら良かった。部活はどう?」
「今の所楽しい」
「なら良かった」
テンポよく会話をしていたらいつの間にか予定の時間より多く話してしまった。ランニング中、偶然再会したのだからもう戻らなければならない。少し体が冷えてしまった。
「じゃあもう行くね」
「ああ、気をつけて帰れよ」
瞬きを一つ。あのテツ君が気遣う言葉をくれるだなんて。以前なら「ああ」しか返さなかっただろうに…幼稚園の頃が懐かしい…
「ありがと!」
手を振りながら走り出す。しみじみ浸っている場合ではない。目の前の課題を着実にこなしていかなければ。
テツ君も手に豆ができ始めていたし髪の毛ももともと短いのに更に短くなっていた。
彼のこれからについて考えるとワクワクが止まらない。どんな選手になるだろう、どんな野球をするのだろう、どこを守るのだろう。
「眞白、そのニヤけた面しまえ」
「え、ニヤけてた?」
「だいぶな」
雅功は厳つい顔で凄んでくるから容赦ない。目線が同じであることを少し恨む。伸びるならとっとと伸びてくれ。…いや上から見下ろされたらちょっと怖いかも。
「ブルペン行くぞ」
「えーまた?」
「悪いか」
「いやそうじゃなくて、その時間他に当てた方が良いと思うよ」
「うるせぇな、ったく普段の方がやり辛ぇ…」
この子も伸一郎並みに口悪いよな…しかも人相悪いから怖さ倍増である。伸一郎はキャンキャン吠えるチワワみたいで可愛かったのに。
例えるなら彼は…土佐犬かな。うん、ぴったり。
「球、よこせ」
「テメェってやつは…」
「今日こそ溢さないでよ?私もそろそろ気持ちよく投げたいんで」
「うるせぇ、とっとと投げろ!」