授業中は大抵暇だ。
人生二度目ということもあり中学生レベルの勉強なら大抵わかる。多少抜けている所があるにしても、それが丁度良くテストに影響して成績順位は中の上をキープしている。
たまにサボりすぎると順位がガクッと下がってしまうから要注意。ただ点数が下がろうと誰かに何か言われるわけでもない。先生がたまに「どうかしたのか」と聞いてくるがサラリと受け流すスキルはある。
欠伸を噛み殺して黒板を見る振りをしていると手元で携帯が光った。開かなくても分かる、鳴だ。
私と同時期に鳴も携帯を買ってもらえたらしく、新しいオモチャを手に入れたとばかりに私に意味もなくメールを送りつけてくる毎日。絵文字だらけで読みにくいったらない。
対して携帯を持たないテツ君からは電話がたまーにかかってくる。それもほんの数分で長電話する事はない。生存確認でもしているのだろうか。
直ぐ返事をしないとメールボックスが悲鳴をあげる事になるので渋々メールを開く。
「ね!む!い!」なら寝てしまえ。というか中学入ったばかりの一年生が授業中にメールする余裕があるのか。…鳴は器用だからやりかねない。
「彼女にノート写させてもらえば」端的に返すと直ぐ携帯が光り出す。
「また眞白はそういう事言う!!キライ!!!」はいはい。彼女取っ替え引っ替えしてる君が悪い。
「ごめんね」一応謝ると今度は少し間を置いて携帯が光った。
「すぐ謝んのは眞白の悪い癖!うざい!!」はいはい。
この子最近キライだのウザイだの憎まれ口ばかり叩くようになってきたんだよな。反抗期か、反抗期なのか。
鳴ママやお姉ちゃんズに聞いても反抗期が殆どなくて助かる的な事言ってた。その反動が私に全てきているのだろう。それなら甘んじて受けてやるしかない。
鳴の暇つぶしに付き合っていたらもう昼休みになっていた。なんだかんだ私の暇つぶしにもなってしまったらしい。
友人達とともに購買に向かうとその内の一人がニヤニヤと指で刺してきた。
「数学の時間、誰とメールしてたのさー!顔緩んでたよ?」
「うーん、可愛い弟」
「ブラコンか!」
そうかもしれない。
恋バナが出来ると期待した友人には悪いが、私は一回りもふた回りも年の違う子に惚れた腫れたもない。おそらくこの人生、一生恋人ができないだろう。
「そういう優子はこないだ言ってた図書館の君とはどうなった?」
「やだー!聞かないで!」
「え!何それ!詳しく!」
キャッキャと恋バナする子達に紛れるように笑顔を作る。こうして擬態するのももう慣れた。人間の慣れって本当に恐ろしい。