ミーティングが終わり、近くの自販機で飲み物を購入していた時。
「ちわす」
御幸君が駆け寄ってきた。やはり前会った時とは比べものにならないくらい体が大きくなっている上にイケメン度が増した。最近雅功や女の子達とばかりいたせいでイケメン耐性が低下した気がする。
雅功が無言で私を殴る絵面が目に浮かぶ。ごめんて。君も無骨な感じがカッコいいよ、うん。
「御幸君、だよね」
「あ、覚えててくれてたんですね。てっきり忘れられてると思ってました」
ケラケラと笑う彼はリトルの時みたいな純粋さや爽やかさはなりを潜めている。なんか胡散臭さが増した気がするのは気のせいか。
「シニア入ってるとは思ってませんでした。しかもベンチで代打だし…眞白さんって実は性格悪いですよねー」
性格悪いという言葉を否定する事も出来ず愛想笑いを浮かべる。そりゃあ人生二度目だし大人の悪知恵が身についてるし、性格悪いと言われるのも仕方ない。
それにしてもこの子、キャッチャー向きの性格している。腹黒そう。しかも歯に着せぬ言い方するし年上に嫌われそうだ。
「それに眞白さん器用そうだし投手じゃなくて二塁手とか遊撃手ならレギュラー取れそうなのに。あとキャッチャーも向いてると思いますよ」
今までそんな発想した事がなかった。二度瞬きを繰り返す。
そんな私を見て御幸君は吹き出した。
「面白え〜そんな顔しないで下さいよ」
「ごめん…自分がマウンド以外の所にいるの想像できないや」
「まじでっ?!面白すぎる…腹痛ぇ」
御幸君はなお一層笑い出してしまった。いや私そんなウケ狙ってないんだけれど。この子、ツボ浅すぎやしないだろうか。
先程買ったアイスココアを飲みながら彼の笑いが収まるまで待つ。
ようやく収まると彼の要望に応え、連絡先を交換した。
「そういえば成宮鳴って知ってます?」
「知ってるというかその子従兄弟だよ」
「あー…道理で」
やはり似ているのだろうか。あまり似ていると言われたことはないけれど。
彼曰く、練習試合で鳴と対戦し、彼のピッチングと私のピッチングが重なったらしい。しかもマウンド上から見下ろす目線がそっくりと言うから驚いた。
「まあ鳴からは二本ヒットもぎ取りましたけどね」
ニヤリと口角を上げた彼は悪戯を成功させた子供みたいだ。思わず頭に手を伸ばしてしまう。
「すごいすごい」
なでなでしてからふと気がつく。この子、もう中学生か。鳴やマサ君じゃあるまいしこんな事しても恥ずかしいだけなのではないだろうか。
咄嗟に手を退けて身を引く。しかし時すでに遅し。
「あはは、ガキじゃあるまいしやめて下さいよ」
口ではそう言っているものの、御幸君の顔は真っ赤に染まっていた。