遠ざけた男の一面

私の通う女子校のクラスメートとほとんどはそのまま持ち上がりで高校に進むらしい。なので外に出る女の子二人と固まって勉強する事が多かった。

今日は私の家で勉強会をしようと二人を招いた。が、玄関がすんなり開いた事にピクリと米神が動く。またこの子は…

「あ、おかえりー」
「じゃなくて。鳴、また鍵忘れたでしょ」
「うっそー!ごめん、次から気をつけるね〜」
「謝る気ないのバレバレだからね」

呆れて何も言えない。しかもまたソーダバー食べてるし。この子に合鍵渡したの、成宮家の誰だろう。今度問い詰めてやる。

「今日、友達来てるから帰って」
「えー!今日家に誰もいないのに?!」

うるっとした瞳でおねだりされると断れないのをこの子は理解しているから本当にタチが悪い。

「ちゃんとご飯用意されてるんでしょ?」
「さーみーしーいー!」
「………」

もう中学二年生になるはずなんだけどなあ、こんな子供っぽいもんだっけ。何と言って帰そうかと、答えあぐねていると後ろで控えていた友人達がおずおずと声を発した。

「別に良いよ?眞白がよく話してる従兄弟の子でしょ?」
「私も全然平気だよ」
「ほーら!良いって!ね!良いよね!」

どこで教育間違えたんだろう。嘆いたところで何も変わらない。

鳴と友人達が楽しそうに会話する中、私は黙々と夕飯の支度に取り掛かった。今日はまともに勉強できなさそうだ。

「おねーさん達手が綺麗だね!髪も長くてちゃんと手入れしてるし…大人の女の人って感じ!」

おいそこ、口説くな。そして友人達もデレデレしないの。大人の女っていうか一つしか違わないからね?


その後、彼らは連絡先を交換し、その内の一人と鳴が付き合い始めたなんて聞きたくない。信じたくない。懸念した通り、女関係はゆるゆるになってしまったようだ。

舞お姉ちゃんが彼氏を取っ替え引っ替えするから…澪お姉ちゃんにいたっては彼氏作らないでフラフラしてるし…鳴にしつこく言うよりお姉ちゃんズを更生させた方が良かったのかもしれない。

「二股はやめてね、3人で勉強できなくなるから」
「え…眞白ってエスパー?」

友人二人は次第にギクシャクし始め勉強会は二度と開かれることはなかった。

こういう風に鳴が関わると私の友人関係は上手くいった試しがない。鳴が意図してやっているのか、偶然友人達が鳴を選んでしまうのか。それを考えてしまったら見たくない何かが見えてしまうのではないか。そう感じ、いつも目を背けてている。