ワガママ姫育成論

月日は流れ、私は年長さんになった。

めいちゃんは舞お姉ちゃん、澪お姉ちゃん、めいちゃんママに甘やかされスクスクと育ち、立派なわがまま姫になってしまった。いや、まあ…その甘やかし隊の中に私もいるのだけれど。

めいちゃんの家は私が年中さんの頃に引っ越してしまったため、前ほど頻繁に遊ぶことはなくなった。

▽▲▽


「眞白!!どこ?!」
「今トイレー…」
「早く出てきて!早く!」

ゆっくりトイレもさせてくれないのか、このワガママ姫は。彼はいつも私の姿が見えなくなると直ぐ探しに来る。

こんな横暴っぷりなのに幼稚園でイジメられたりハブられたりしてないというのだから不思議な話だ。カリスマ性とやらでも備わっているんだろう。…私も欲しかった。

「眞白!早く!」
「はいはい」

ドンドンとトイレのドアを叩かれる。君は悪徳金融業者か。
トイレを済まし、ドアを開けると仁王立ちしてこちらを睨むめいちゃんの姿があった。おおーこわ。

「おっそいなー!もう!ボクトイレ行くからここで待ってて!」

君がトイレ行きたかったならそう言えよ。喉元まで出かかった言葉を飲み込む。

「ぜーったいここから動かないでね!わかった?!」
「はいはい」
「はいは一回!」

幼稚園の先生にでも言われた言葉なんだろうな、コレ。幼稚園児は言われた言葉を真似したがる傾向がある。

閉まりかかったトイレのドアが再び勢いよく開いた。

「動いてないよねっ?!」
「動いてないってば」

なんなんだコイツ。
このやり取りを二三回繰り返していたら通りかかっためいちゃんママに「早くトイレ行きなさい!」と注意されてしまった。

めいちゃんは幼稚園に入る前まで私を「眞白ちゃん」と姉たち同様に呼んでくれていたのだが、幼稚園に通うようになってからは「眞白!」と呼び捨てするようになってしまった。

そういえば、私は前世から左利きだったのか左利きなのだが、めいちゃんもそれを真似してか左利きに。左利きは何かと不便なのに。

めいちゃんの可愛さを除いて変わってない所はただ一つ、泣き虫な所。転んだくらいでは泣かないが、私が手を繋ぐのをめんどくさがったり、私とバイバイする時になるとめいちゃんの涙腺はゆるゆるになってしまう。
それが可愛くないかと言われれば嘘になる。なんだかんだ甘やかしてしまうのはめいちゃんが可愛すぎるせいだ。たまに度がすぎるワガママだけど。

「眞白!一緒にトイレ入ろ!」

まだ済ませて無かったんかい。