努力のカケラ

ピピピピ、ピピピピーーーー

午前5時、目覚まし時計の音と共に起床。体を起こして勉強机まで歩き、鳴り続ける時計を止めた。

今日は入学式。高校生活第一日目。

昨晩お父さんから新しいメニューが渡された。その中に青道高校野球部のグラウンド周りを何周かするメニューが入っておりちょっと楽しみだ。

丁度日の出の時間で太陽が少し眩しい中、私は走り出した。
グラウンドに着くと人がいないせいか、以前見学に来た時より大きく感じる。一周してみると尚更大きさを実感した。

青心寮の近くまで来た時、素振りの音が聞こえてきた。さすが名門、こんな時間から素振りする人がいるんだ。

気になって土手の下を覗くと体格の良い子が一人黙々とバットを振っていた。顔を見て気がつく。東清国君だ。190cmはあるんじゃないだろうか。

この距離でもスイングの力強さが伝わって来る。こういう人に認められるのは大変かもしれないな。


高島さん、否高島先生に3月頃から正式なマネージャーとして見学に来ないかと誘われたが、私は丁重にお断りした。
私のデータや分析、アドバイスなどは部員自身が聞く耳を持ってくれないと力を発揮しない。普通ちょっと前まで中学生だった私なんかの言葉なんてウザいだけに決まっている。
部員たちに認めてもらわねば話は始まらないのだ。そう高島先生に伝えると彼女は驚いていたものの、すんなり納得してくれた。

そして一年間は基本のマネージャー業務に専念し、チームに貢献する事になった。たった一年でどこまで認めて貰えるのか。多少不安であろうとやるしかない。

私はギアを上げて再び走り出した。


家に帰りシャワーを浴びて、新しい制服に腕を通す。中学はセーラーだったためブレザーが新鮮だ。
シニアを卒業してから切っていない少し伸びた髪を櫛で梳かし身だしなみ完璧。うん、今日も美少女。

家を出て、学校に向かわずテツ君の家に向かう。テツ君のお母さんによるとそろそろ家を出る時間のはず。家の前で待っているとブレザー姿のテツ君が現れた。
その後ろには正装したマサ君やお母さんもいる。うん、マサ君、ダンベル持っていくのはやめようか。

「おはよー」
「シロ…こんな所にいていいのか?」

ガクリと肩を落とす。やはり彼は女子の制服なんて把握してなかったか。

「私も青道高校なの。三年間よろしく」

そこでようやく理解したのかテツ君は目を見開いた。そうそう求めてたのはこの顔ですよ。

結城親子と共に学校に向かう。その道中、「三年間、貴方達を支えられるなら私は何だってするから覚悟してね」そう伝えるとテツ君は嬉しそうに頷いた。

「青道に行くからには1日500スイングしようと思う」
「うん、少しずつ増やしていこうね」
「……シロも付き合「いません、私はマネージャーです」
「見てくれるだけでも構わん」
「それなら良いよ」

こらこらマサ君はそんな所で闘志を燃やさないの。