「あーーっ!!テメェはあの時の!」
入部式にて伊佐敷君に指さされながら叫ばれた。彼が先輩達に注意される中、私は思わず天を仰ぎそうになる。ポメラニアンっぷりが健在で何よりです。
よほどシニアの時の敗戦が悔しかったのか他の人が自己紹介している間もガンつけられていた。藤原さんがビビっているからやめて欲しい。
私の隣にいるこの美少女は同期マネの藤原貴子ちゃん。クラスが違ったため、ついさっき知り合ったばかりである。
「田之倉さん…あの人は…」
「中学の時の顔見知り、気にしたら負け」
「そ、そうなんだ…」
先輩マネージャーの目を盗んで小声で会話する。本当にごめんね。
新入部員が次々と自己紹介をしていく。テツ君が「どこでも守れます」と言った時は少し驚いた。中学で練習を見た時はそんな印象なかったけど。
最後はマネージャー。先輩マネージャーさん達に背中を押されて藤原さんが一歩前に出た。
「マネージャー希望の藤原貴子です!精一杯皆さんのサポートをさせて頂きますのでよろしくお願いします!」
うん、可愛い。初々しさがなお良し。一歩下がった藤原さんの背中を軽く叩いてアイコンタクトを送る。よく頑張りました。
「次!」
監督の鋭い声がグランドに響く。背筋を伸ばして一歩前に出た。ひそひそと一年生がざわついている。どうせシニア時代の噂だろう。先輩の一人が一喝して場を鎮めた。
「同じくマネージャー希望の田之倉眞白です。気軽に#name4#と呼んでください。よろしくお願いします!」
このあだ名を考えてくれたのは意外にも鳴だった。「名字から取ったほうが男は呼びやすいでしょ?」とのこと。そういう所はさすがと言うしかない。
あだ名を名乗ったのは親しみやすさを上げるため。プレーヤーでない分、馴染むのには時間がかかるだろう。その時間を少しでも短くしたいという思惑があった。一年しかないのだからどんな事でも利用させてもらう。
一礼して一歩下がる。一年生の列にはテツ君を始め、さっき叫んでいた伊佐敷君、シニアで対戦した滝川君、リトルで対戦した小湊君が見えた。多分小湊君は昔すぎて覚えてないだろうけど。
その後、一年生はBグラウンドに移動し体力測定を行う。新人マネージャーズもその手伝いに向かわされた。その途中。
「なんやお前、陸上部やないんか」
真上から声がした。近くで見ると縦も横もデカくて圧倒される。
「東先輩…朝の気づいてたんですか」
「ジロジロ見といてよう言うわ!今度からきちっと挨拶せえ!」
バット振りながら周りもちゃんと見えているようで安心した。
「はいっ!!」
しっかり目を見て笑顔で元気よく。まずはこの人から認めてもらわねば。