高校最初の試練

五月中頃、関東大会真っ最中。
私達、青道高校野球部一年は崖っぷちに立たされていた。

高校生活始めての定期試験が五月終わりに控えているのである。私と貴子は先日、高島先生、部長、監督に呼び出され今の一年生の学力を言い渡された。それを聞き焦った私たちは夕食後に一年生全員を食堂に集めたのだ。

「五月の末、中間試験があります。正直に手をあげてください。この間の5科目確認小テスト、全て足して150点なかった人」

数人の手が静かに上がり深くため息を吐く。貴子も驚いたのか「こんなにいるんだ…」と小さく呟いた。

「監督から学年で赤点が一つでもあったら、連帯責任で学年全員しばらくボールに触らせないとのことです」

途端に皆がざわつきだす。私もこれは少し厳しすぎるのではと思ったが、最初が肝心ということだろうか。

「なので今手を上げた人達を全員でバックアップし、赤点を取らないようにしましょう」
「じゃあ手始めに全員小テスト出して?」

そのまま食堂で小テスト公開処刑が行われた。一番危険なのはやはり伊佐敷君。後はドングリの背比べで増子君、田中君、槙原君、山崎君、斎藤君、桑田君。テツ君、丹波君、坂井君も科目によって差が激しすぎるため要チェックだ。

本当に大丈夫なのか不安になってきた。

各自、得意な科目は教えに周り、苦手な科目は教えを請う。私は数学を教える側に回った。しかし座った位置のせいか全体が見渡せてしまいついつい注意してしまう。

「伊佐敷君寝てる!貴子起こしてあげて」
「はっ…寝てたか俺…」
「うん…頑張ろう伊佐敷くん」

「テツ君、しれっと答え見ないの」
「む、ダメか」
「分かんないなら聞いて」
「さっぱり分からん」
「教科書15ページを読んでから解いてみて」

「斎藤君と桑田君!雑談するなら後、今は勉強に集中して」
「「すみません!」」

「増子君は食堂の方ばっかり見ない!」
「………」
「…オニギリあげるから」

勉強体制が整ってきたため、ようやく一息つく。

貴子は家少し遠いしあと一時間したら誰かに送らせよう。その後一時間やったら解散にしてまた明日やらなくては。

鬱々と考えていたら隣に座っている小湊君がにこやかに言った。

「#name4#ってみんなのお母さんみたいだね」

さすがにこんなに沢山は勘弁してほしい。

それにしてもクリス君と貴子が成績優秀で良かった。二人がいなかったら壊滅的だっただろう。

「お母さん、ここが分かんないです」
「小湊君、その呼び方はさすがにやめて。テツ君も乗っかろうとしないの」
「#name4#〜消しゴムなくなったから貸してくれ」
「はいどうぞ、明日購買で買うの忘れないようにね」
「ほらお母さんじゃん」