テツ君の素振りを見ていたら帰路に着いたのは10時を回っていた。
女子高生なのにこの時間帯に帰宅は不健康かもしれない。帰ったら夜のメニューこなして、あ、今日お父さん帰ってこないから夜ご飯作んなきゃ。
家の前まで来ると何故か明かりが点いていた。まさかと思いドアノブに手をかける。ガチャリと音を立ててすんなり空いてしまった。
慌ててリビングに行くとソファから覗くのは見慣れた後頭部。ヒヨコみたいで直ぐ撫でたくなるその後頭部の持ち主は不機嫌そうにこちらを振り向いた。
「ねー、おっそくない?いつもこんな帰り遅いの?」
またソーダバー食べて…と注意した所で聞かないのが鳴だ。私は一息ついてカバンを下ろす。冷蔵庫から冷凍焼きおにぎりを取り出して電子レンジに突っ込んだ。
「ねえってば!」
「今日はたまたま、鳴も夏休みなら明日も練習でしょ?早く帰りな」
階段を上がって部屋でジャージに着替えてまた降りる。すると鳴が焼きおにぎりを頬張っていた。呆れて何も言えない。
「鳴、お腹すいたなら言ってくれれば…」
「眞白!」
突然大きな声を出すもんだから少し驚いた。むくれた表情で私に詰め寄ると彼は大きく息を吸い込んだ。
「眞白の馬鹿!そんな直ぐ帰れって言わなくたっていーじゃん!ケチ!俺の勝手でしょ!」
ここは私の家なんですけど。そう反論すればヒートアップするのは間違いない事を私は知っている。黙って冷凍庫から再び焼きおにぎりを取り出し、電子レンジに突っ込んだ。その後を鳴は小鴨のように着いてくる。
「こんな夜遅くに一人で帰って来て危ないじゃん!送ってくれる部員もいないの?!薄情な奴らだね!」
ピクリと頬が動いた。
「鳴、そうじゃない」
「何が?俺間違ってる?間違ってないよね?!」
「部員のせいじゃない、私が一人で帰るって言ってるだけ」
するとむーっとふくれっ面で鳴はいじけてしまった。こりゃあ、自主的に家に押しかけるのを辞めてたんじゃなくてお姉ちゃんズに何か言われて我慢してた口だな。
「鳴」
努めて優しい声で言い聞かせるように目線を合わせる。身長も後少しで追い抜かれそうだ。
「心配してくれてありがとね、でも私は鳴が心配なの。分かって?」
それでも不機嫌さは直らない。チンと鳴った電子レンジには申し訳ないけどもう少し待ってほしい。
「分かった、じゃあこうしよう。今日は泊まっていいから」
「えっ!ほんと?!」
途端に目を輝かせるから現金なやつだ。それがまた可愛いんだけど。
「正し、私は明日も部活だから朝早く起きて一緒に出ること。いいね?」
「うん!うん!」
可愛くて反射的に頭を撫でてしまった。
「もっと!最近撫でてもらったの久しぶりだから!もっと!」
「はいはい…あれ彼女から撫でてもらわないの?」
「あれはノーカン!」
なんじゃそりゃ。