普通に椅子に座ってくれてもいいのに、全員地べたに正座してしまった。この光景は正直こっちが引け目を感じる。皆小さくなって叱られる前の子供みたいだ。いや、まさにこれから叱ろうとしてるんだけど。
とりあえず貴子には非がないので自主練終わりのクリス君に頼んで送ってもらった。
「まず」
私が口火を切ると皆の唾を飲む音が聞こえる。
「貴子に迷惑をかけるんじゃない、貴子のコピーを私がもし提出したら一番被害を被るのは彼女なの分かってる?まず写させて貰ってありがとうございますでしょう」
「そ!それは感謝してる!」
「#name4#達に感謝の気持ちを忘れたことなんかねーぞ!」
「そーだ!そーだ!」
口々に感謝を述べる彼らはやっぱり良い子。けれどここで甘やかしてはいけない。
「わかった!わかったから!次行くよ!」
「「はいっ!!」」
「君たち嘘つくの下手過ぎる。それは自覚しなさい。下手に嘘ついたところでバレるんだから滑稽な真似はしないの」
「「はい……」」
「滑稽って…」
「それにナントカしようとするならまず探しなさい。ちゃんと必死に探した?誰かのせいにして汚い机の上を見てない人もいるんじゃない?」
「「………」」
「今すぐ自分の部屋に行って必死に隈なく探して来なさい。先輩にも事情を話して手伝ってもらっても構わないから。テツ君は家ね、皆より遠いけど頑張って。はい、GO!」
冷や汗を流しながら彼らは食堂を飛び出して行った。そんなに怖くしたつもりはないんだけどなあ。食堂に残された私は苦笑を浮かべるしかなかった。
その後、着々と私が貸し出していた課題は見つかり、無事全て手元に戻って来た。
「今後このような事がないように」
「「はい……」」
「返事が小さい!」
「「はいっ!!!」」
「じゃあ写してない人は今すぐ写して!私が帰る前に!」
「「はい!」」
その後、彼らは代わる代わる写しながら食堂を出て行ったかと思うと飲み物やお菓子を手に持って戻って来た。そして「すみませんでした!」と頭を下げて私に献上して行くのだから溜まったもんじゃない。
私は女王か何かか。
貴子を送り終わったクリス君が食堂まで様子を見に来た。私の目の前に積まれたお菓子の類を見て目を見開いている。
「それは?」
「献上品…かな?」
クリス君と目を見合わせてお互い吹き出してしまった。
「嫌われないよう必死なんだろう」
「課題はいつも私頼みだもんね」
「………ああ、そうだな」
何故微妙そうな顔をする。
そしてテツ君、こっち見てないで写しなさい。
こうしてようやく夏季休暇課題の一件は幕を閉じたのだった。