期末テストも終わり、冬合宿が近づいて来た。そのため先輩マネさんと貴子が買い出しに行くことに。
引退した三年生が荷物持ちにと数人駆けつけてくれたのは感動した。心優しい子達ばかりだ。
残された私はマネージャー業に勤しむ事に。そしてこちらにも人手が足りないだろうと三年生が数人集まってくれた。
ただ今まで選手しかやった事がない彼ら。
「先輩!ドリンク薄めすぎです!」
「悪い悪い」
「そこに粉を足さないで下さい!」
「ん?ダメか?」
「今度は粉多すぎです!」
「じゃあ水足すか」
「先輩!手元!溢れてます!」
「先輩!そのボールは室内練習場のです!ノックはグラウンド横に出してあるヤツ使って下さい!」
「げ、マジか」
「マジです。私が戻しときますので!」
「おう!頼むわ!」
「そっちじゃないです!」
「こっち?」
「あっちです!」
「先輩!洗剤違います!」
「いつもこれで洗ってんだけど」
「汚れが酷いのでこっち使ってるんです」
「ほーそんな工夫が…」
「ああ!そんなに入れる必要ないです!」
「入れすぎか…?」
「入れ過ぎです!が!大丈夫です!スイッチ押しちゃって下さい」
「お、おう…」
まあ、こうなるわな。
思わず頭を抱えなかった私を褒めて欲しい。
先輩たちの好意を無下にしないよう、尚且つ業務が滞らないよう目を配りながら走り回る。今日は先輩たちがいるせいか東先輩の怒声は飛び出さなかった。らっきー。
ただ普段の倍以上忙しいけど。
「先輩!ジャグそこじゃないです!」
「あれ、違ったっけ」
「こっちです!」
「おお悪いな」
「先輩!それ雑巾です!」
「マジで?!」
「マジです。あっちにあるやつでお願いします」
「これ?」
「それじゃなくてあっちです!」
「先輩!そのメモ捨てないで下さい!」
「ただの数字の羅列じゃねーか」
「それ私が取ったデータなので!」
「なんだそれ!詳しく話せ!」
「後で!後で話しますから!」
先輩マネさんたちが帰ってくる頃には疲労困憊状態。しかし先輩マネさんや貴子の表情にも色濃く疲れが見て取れた。おそらく買い出し先でも先輩たちが大変だったのだろう。
三人で顔を見合わせ、同時にため息を吐いた。
「先輩…大丈夫ですか…?」
「大丈夫そうに見える?」
「いえ…」
「こっちは予算決まってんのにあれ買おうこれ買おうって煩いし、プロテイン談義が始まるし、気がついたらいなくなってるし…」
「私、迷子の呼び出し頼んだの初めてでした…」
「私もよ、先輩たちもあの年で呼ばれるとは思ってなかったでしょうね」
「……お疲れ様です」
「そっちは…まあ去年私も経験してるから分かるわ。お疲れ様」
「…ありがとうございます」
再び揃ってため息を吐く。正直こりごりだ。