束の間の休息

選手達はご馳走に舌鼓を打ちつつ思い思いに過ごしていた。

私は少し離れた所に座って皆の様子を見守る。

増子君はいつも通り沢山食べていた。本当に幸せそうに食べるから見ているこっちが幸せな気持ちになる。だから教室で彼のお腹の音を聞くと、ついついお菓子やご飯を与えてしまうのだ。

伊佐敷君は先輩に羽交い締めにされてサンタ帽被らされている。なんだかんだ先輩から一番可愛がられているのは彼だと思う。

それをテツ君が誰かの携帯を借りて写メを撮りまくっていた。その携帯は恐らく悪い顔をして彼の横に立っている小湊君の物だろう。

貴子は先輩マネさんと三年生に囲まれている。何を話しているのかと思ったらドラマの話だった。意外すぎる。三年生は引退してからドラマにハマってしまったらしい。貴子がそんなのいつ見ている時間があるのか甚だ疑問だ。

宮内君は先輩からプロテイン講座を受けていて、その向かいではクリス君と丹波君は交流を深めている。
楠木君は参加していない。これはマネージャー達の憶測だけど彼女と過ごすのだろう。彼は野球部以外の友達も多い事からコミュニケーション能力の高さが伺える。

門田君は先輩の食料確保に徹している。坂井君も同じ様な事を頼まれているのか門田君と取り合いになる場面も。他の一年生もなんだかんだ楽しめている様で何より。


毎年、クリスマスは鳴の家族と過ごしていた。今頃彼はどうしているだろうか。まだ怒りが収まっていないらしく、あの一件以来一度も連絡がない。本当に絶交のつもりだったら少し寂しい。

舞お姉ちゃんや澪お姉ちゃんからの連絡によるとなんだかんだ元気でやっているらしい。だが成宮家の中で私の話題は禁句なんだとか。
これはお正月の初詣もなくなりそうだ。


「#name4#!端っこで何しとるんや!こっち来い!」
「東がお前いねーと寂しいってよ!」
「そんな事言っとらんわ!」

二年生の先輩方に呼ばれ、私は重い腰を上げた。春からこの人たちも大分成長したなあとしみじみしてしまう。特に東先輩は腹回りが。

「東先輩、そんなに食べたら消費しきれませんよ」
「やかましいわ!そう言っとる#name4#が一番食べてないやろ!」
「ほら!食べろ食べろ!もっと太れ!」
「冗談よして下さい。私東先輩みたいにはなりたくないです」
「お前、言う様になったなぁ!」
「コラァ!俺のチャームポイント馬鹿にすんのか!」
「違いますよ、先輩みたいにホームラン量産できる女は嫌だなと思って」

私の一言で上機嫌になった東先輩。なんだかんだ、この先輩は扱いやすい。しごかれただけあって扱い方は把握済みだ。

彼は最近調子上げて来ているし、シーズン開けが楽しみな選手の一人。ただ本当に腹回りだけが心配だけど。