バットを振ってたらいつの間にか年越してました。私らしくて一人で笑ってしまう。実につまんないヤツだ。
去年の今頃は鳴と甘酒を飲んでる頃だろうか。成宮家から初詣のお誘いはあったものの、鳴を気づかって遠慮した。鳴ママはお父さんが球団の飲み会に行ってしまっているのを知っているため、何度も「寂しくない?」と聞いてくれた。もちろん、寂しくないです。思う存分バット振れます。
携帯が震えたり点滅したり騒がしくなってきた。女子校仲間のあけおめメールに違いない。この瞬間どれだけ回線が混雑してるんだろうか。
怒涛のメール祭りが勝手に開催されているので、あとでゆっくり確認しよう。
そう思っていたら突然家の電話が鳴り始めた。急いで受話器を持ち上げる。
「もしも「ばーか!!!」
ん?と首を傾げている間にブチッと切られてしまった。一瞬しか聞こえなかったがあの声は鳴に違いない。何を言いたかったのだろうか。もしや初詣を断ったのを根に持って?いやまさか。
ただ久しぶりに声が聞けてほっこりしてしまう。元気そうでなにより。
お昼頃、舞お姉ちゃんと澪お姉ちゃんがおせちのお裾分けを持って遊びにきてくれた。
「いやいや!眞白ちゃんは鳴に甘すぎ!」
「舞お姉ちゃん達には負けるよ」
「昔はね!猫可愛がりし過ぎたと思うけど!今はそうでもないから!」
我が家のようにくつろぐ二人。その姿が少し鳴に似ているのはさすが兄弟といったところか。
「そういえば年越して直ぐに鳴から電話なかった?」
「あったよ。ばーか!って言われた」
「やっぱりあれ眞白ちゃんに電話してたんだ!」
話を聞くと、どうやら成宮家で初詣に並んでいる時にあの電話をくれたらしい。家族が誰にかけたのか聞いても一切教えてくれなかったそう。
「鳴、たぶん寂しかったんだと思うよ」
「さっきも意地張って来なかったけど絶対来たかったんだよあれ」
「チラチラこっち見てたもんね〜あれは傑作だった!」
「鳴は眞白ちゃん大好きだからなあ」
「でも絶交って言われたけど」
「うっそだー!」
「無理でしょ!そんなん!いつから?」
「10月くらいかな」
「長い!さすが意地っ張り!」
「一度言っちゃったから引くに引けないだけでしょ」
「それだ!」
ケラケラ笑うお姉ちゃんズ。これは二人帰ったら鳴がからかわれる未来が見えた。余計な情報を与えた事でますます鳴に嫌われそうだ。
「てか澪お姉ちゃん、そのアイス…」
「冷凍庫に入ってたから貰った!どうせおじさんのでしょ?」
「うん…まあ」
「私も食べる!あ!ソーダあるじゃん!」
さすが姉弟。もう何も言うまい。