secret pride
その後、新一に扮するバ怪盗の提案により屋上の展望テラスに来た。
怪しいところはないかと見て回るバ怪盗と蘭、それをつけ回すコナンの図に呆れて笑うしかない。何この茶番。
「貴女が大人しくしてるってことは今日は予告日じゃないってこと?」
哀は言った後、オレンジジュースに口をつけた。質問というより確認しているようだった。
向かいに座る博士が「えぇっ?!」と驚きの声を上げた。
「ビンゴ」
「やっぱりね」
「じゃ、じゃあキッドの本当の予告日はいつなんじゃ?」
近くに人がいないのを確認する。
園子はバーカウンターで飲み物を飲んでいるし、子供たちは少し離れた窓際で騒いでいる。一番聞かれたくないコナンの姿は見えない。
「暗号からは奇数便の飛行機内で盗む事しか分からなかったから、牧さんがどっか旅行に行く時じゃないかなって」
「あの人ならこの舞台終わった後、打ち上げで旅行行きそうだものね」
「そゆこと」
僕もサイダーに口を付ける。シュワシュワと口の中ではじけて爽やかさが口いっぱいに広がった。
「そこまで分かっているじゃったら新一に教えてあげた方が…」
ぎくりと肩が上がる。どうやって話を逸らそうかと言い淀むと思わぬ所から横槍が入った。
「バカね、このプライドがエベレスト級に高い天音が不確かな推理を工藤くんに話すと思う?」
図星を突かれ、思いっきり右を睨みつけるけど、当の本人は涼しい顔をしているのだからなおさら腹がたつ。
睨んだところで不毛だと悟り、残りのサイダーを一気に飲み干し、空のグラスを手に立ち上がった。
「…下降りてコンビニ行ってくる」
博士の戸惑った声と哀の小さな笑い声を背中で感じつつ歩き出す。
地上に降り、近くのコンビニでキャラメルを買った。哀に連絡すると今は劇場のロビーでパンフレットを買っているらしい。
エレベーターに乗り込むと床に封筒が落ちているのが目に入る。さっき入れ違いで乗っていた老人の物に違いない。
めんどくさいけど封筒を持って下に降りるか、と封筒を拾い上げた時、嫌なものが目に止まった。
封筒を裏返すとさっき見たお決まりのマークが記されている。もっとめんどくさい物を拾ってしまったらしい。
開けると、この封筒は意図して僕の元に来た事を悟った。
中から出てきた二つ折りの紙の表には、仰々しいヨーロッパ風の家紋がプリントされている。それを開くと《P1》と書かれた上に直線が引かれ、さらにその上には《8:33:33》と刻まれていた。