妖精の尻尾へ

「楽しみです!妖精の尻尾!」
『ねー!』


戦いが終わってあたしたちはエルザを筆頭に妖精の尻尾に招待された。ルーシィも凄くノリノリで入って入って!と押せ押せでくるし、まだ返事してないけどナツはもう入ったと思ってるのか、これからよろしくな!と笑顔で迎えられ、グレイには涙の跡を拭われ、楽しいギルドだぜ、とそれぞれから最高の勧誘を受けたので、ぜひぜひ入らせてもらうことに。

あたしとウェンディのこの後が決まったところで、六魔を倒すために集められた連合軍のみんなはそれぞれのギルドへ帰る。



「また素敵な香りを!エルザさん、ルーシィさん、そしてアリスさん」
『は?』
「今度はこっちに遊びに来てね」
「その時は最高の夜をプレゼントするよ、アリスさん。君に涙は似合わないからね」
『は?』
意味の分からない青い天馬。


「マスターマカロフによろしくな」
「グレイ脱ぎ癖直せよ」
「おまえに言われたくねえよ!」
『あはは!二人とも服!』
「…笑ってる方がいいな」
「そうだな」
「グレイ、おまえまさか」
「おまえこそ」
『どしたん?』
「「なんでもねえ!」」

「てか、あれ放っておいていいの?」
「と、とっとと帰りなさいな」
「さ、さみしくなんかねえからな」
いろいろ進展があったみたいな蛇姫の鱗のシェリーと青い天馬のレン。


そしてルーシィの元に同じ星霊魔道士エンジェルが持っていた鍵、黄道十二門の星霊三人が仲間になったらしい。





「…と言う訳で、アリスとウェンディ、ティアナとシャルルを妖精の尻尾へと招待した」
「よろしくお願いします!」
『よろしくー!』
「よろしくなの!」


妖精の尻尾につき、化猫の宿とは比べものにならないぐらいの大きいギルドに。
中に入り、六魔を倒して帰ってきたことをギルドのメンバーから称賛されるなか、エルザに紹介され、みんなに挨拶をする。
ティアは挨拶したけどシャルルはツンとしていた。ツンデレか、いやこの子ツンはすごいけどデレはない。ルーシィが無事に帰還したのをレビィって子がすごく喜んで、二人は抱き合っていた。


「あ、、アリス、?」
『んん、ん?…み、ミラ?』
「、ひさしぶりね」


にっこり。

私の記憶の中にあるミラとは程遠い、優しさで溢れる笑顔を顔に貼り付ける。きっと、あたしが相手じゃなかったら貼り付けるなんてことなく、普通に自然の微笑みなんだろう。

でも、ミラがそうやってまたあたしに笑ってくれるなら、


『…相変わらず可愛いなこんにゃろ!会いたかったよ!』
「私も会いたかったわ」


あたしも、すれ違ってしまったあの時のこと、

ー 何で、頼むよ、っ
ー アリスがいて、何もできないのか!!

記憶の片隅に置いておこう。

久しぶりに会ったミラに飛びつく勢いで抱きついたけど、さすがS級魔導士。普通に受け止めた。受け止めてくれた腕は微かに震えていた気がする。
ミラとは、昔仕事中に出会ってから、何度も会っていた大切な友人だ。


「アリスさん、ミラジェーンさんと知り合いなの?」
『、まーね!あたしの、、親友だよ!』


ふふん!と自慢気にウェンディに告げると、羨ましそうなキラキラした目を向けられた。悪くない、この視線。


「初めまして。シャルルはたぶんハッピーと同じだろうけど、ウェンディはどんな魔法を使うの?」
『ちょっと、あたしには聞かないの!?』
「アリスは滅竜魔法でしょう?」
『くそう。知っていたか』
「私、天空魔法を使います。天空の滅竜魔導士です」


あたしとウェンディがそう言えば、話を聞いていた周りは驚いて静かになった。


「あ…(信じてもらえない、か)」
「おおっ!」
「スゲェ!」
「ドラゴンスレイヤーだ!」
「ナツと同じかっ!」
「ガジルもいるしこのギルドに四人も滅竜魔導士が!」
「めずらしい魔法なのにな!」


そんなみんなからの感嘆を聞いて、ウェンディは嬉しそうにニコッと微笑んだ。ウェンディ可愛い。
このギルドの人達はみんな温かいなあ。新人を快く歓迎してくれて、宴まで開いてくれて。
マスター、あたしがんばるね。

そういや、ナツの他にもこのギルドには滅竜魔道士がいるんだ。ガジルって言ったかな?確か前に妖精の尻尾と幽鬼の支配者がギルド戦争してたような。その時の幽鬼の支配者側に滅竜魔道士がいるって聞いたことあるけど、そのガジルが妖精の尻尾に入ったんだ。名前は聞いたことあるけど、見た目がわかんないから、またミラにこのギルドのこと教えてもらわなきゃね。

あたしはティアを抱きしめてミラと話をする。あ、ギルドマーク入れてもらわないとってことで右足の太ももにスタンプを押してもらった。あたしの髪と同じ、ラベンダー色の妖精のスタンプ。
なんだか、嬉しくて、見て欲しくて、


『見てナツー!ギルドマーク入れてもらった!』
「ルーシィとおんなじ反応だ」
『な!?うわー、しょっく』
「聞こえてるわよ!それに裾めくるな!」


近くにいたナツに見せようと、着物の裾を少しめくってギルドマークを見せると照れているのか、顔をほのかに赤くしたナツが信じられない事を言った。
信じたくない、ルーシィと同じだなんて。


「ティアも入れてもらったのー!」
『よかったね!』


ナツたちが無事に帰ってきたのが嬉しかったのかギルド内は宴状態となっていた。いつもこんな感じなのか、めちゃくそ楽しそう。
そしてそして背後から感じた不吉な視線、おそるおそる振り返ってみると淡い青の髪の女の子が、眼孔をすごい開けてあたしを見ていた。


「こ、こいがた『うっわ!かわいい!!』き…、え?」
『肌白いし綺麗な髪!すっごい可愛い!』


怖い視線だったけど、その視線はすっごく可愛い女の子があたしに向けているものだった。なんだなんだ、妖精の尻尾の女魔道士みんな可愛くね?男たちからしたらうはうはじゃん。あたしでさえうはうはなるわ。

抱きついてみると無言だった彼女の体温は熱くなった気がした。それにボンって音が聞こえた。


「あ、あの、ジュビアは、その」
『ジュビアって言うの?よろしくね!あたしはアリスだよー!』
「はぅ!……アリス、様!」
『…ん?ジュビア!?』

「無自覚なアリスちゃんなの。女の子は気をつけるの」


てかこの子がジュビアか。ガジルと同じギルド、幽鬼の支配者に所属していたって聞いたけど、妖精の尻尾に負けてギルド解散したから、ジュビアも妖精の尻尾に惹かれてきたのかな?

そのジュビアはあたしの名前に様をつけて、すぐに倒れるように気絶した。目はハートで口元はちょっと不気味なくらいにやついている。
なになに、あたしの後ろにジュビアの好きな人がいるわけ?とか思いながら振り返ると上半身裸のグレイがいた。


『はーん、なるほど。グレイって罪な男だね!』
「おまえに言われたかねえよ!」
『は?どゆこと?』


聞いてもグレイとティアは目を合わせた後、呆れたように首を左右にふっていた。教えろっつーの、おまえら。
は!もしかしなくても、グレイに惚れて妖精の尻尾に入ったなジュビア!
可愛いなあ乙女だなあ


「アリスー!あたしの服ナツにとられたー!!わーん!!」
『何がどうなって服を取られんのルーシィ。てかエロい!』
「おだまり!」


実際思ったことを口にしただけなのに、バシンって背中を殴られた痛い。だって、タオルを体に巻いたルーシィは実にエロい。体のラインがこう、くっきりと。スタイルどうなってんの?良すぎじゃね?
なんて考えていたらあたしに向かって飛び込んできた青猫ちゃん、ハッピー。飛び込んできたので思わず抱え込むと、ゴソゴソ何かしている感じがして、着物の帯が外され、ぐるぐるーって、


『おいぃぃぃい!!』
「いーぞいーぞ!」
「もっとやれー!」
「あい!」


飼い主どこ行った。こいつあたしの帯とりやがったぞちくしょう。今度からはもう少しきつく結んどこうかな。
併せ(あわせ)を片手で掴み、前がはだけないようにする。


「ハッピーやめろ」
「ナツ!」
「帯返してやれ、な?」
「あい〜」


ルーシィ相手に服をもぎ取ることをしてた、ふざけていたナツはあたしの帯をハッピーから取り返してくれて、それをあたしに渡した。
え、ありがとう。


「アリスはダメだ。やるならルーシィにしろ!」
「あいあいさー!」
「やめなさい!!」


それからまた本調子に戻ったナツ。え、何?あたしの貧相な体はみんなに見せるのはみんなに悪いってか?あ?
誰か説明してください。


「ナツくんはアリスちゃんのお肌誰にも見せたくなかったの!」
『え?何それ。ナツには関係ないのにね〜』
「はぁ」


そういやウェンディの声が聞こえなくなったけど何してるんだろ。あたしの大好きな青の髪を探すと、すぐに見つかって周りを見渡しキョロキョロしていた。


『ウェンディの目キラキラしてるよ?』
「楽しいトコだと思ってたんです!ね、シャルル!」
「私は別に…」
「素直じゃないのー」


服を脱がされたルーシィはナツをぶん殴り、起き上がったジュビアはウェンディのようにキョロキョロしていて、ミラはギターを弾きながら歌っていた。確かに騒がしくて楽しそうなギルド。

ふいに感じた視線、バッと二階を見てみると、背中にたくさんの杖を背負って全身を黒いマントみたいなので纏っている人がいた。一瞬目が合ったかと思うと、相手はシュウっと霧になって消えた。
彼もギルドの一員なのかな。
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