『お、ルーシィにエルザ!なに〜?』
仕事をお休みする予定だった今日。
ギルドでほのぼの過ごそうか、お家に帰ろうか、一日何をするかを考えていたら、ルーシィとエルザに声をかけられた。
「たまには女子四人でお出かけでもどうかなって!エルザと提案したの!」
『四人?』
「ああ、ウェンディにも声をかける予定だが、」
『いいじゃん!ウェンディはたしか、、』
カウンターの方を見ると、ミラと話をしているウェンディ。ちょうど話し終えたのか、ミラがマカオ達に声をかけられてウェンディから離れたので、ウェンディを呼ぶとこっちに小走りで来た。
「みなさんお揃いで、何かあったんですか?」
「これといった用事はないけど、お出かけしましょ!」
「お出かけ?」
ルーシィの誘いにぱちくり瞬きをするウェンディに、用事があるかと問うと首を振る。つまりフリーというわけだ。
「わ、私もいいのでしょうか…?」
「あたりまえよ!さ、行きましょ!」
『おー!』
てなわけで、即行動に移す。
ギルドを後にして、四人でマグノリアの街を歩く。そういえば、こんな感じにゆっくり散歩なんて滅多にしないから、新鮮だ〜。
「エルザのおすすめのお店があるんだって!」
「わあ!それは楽しみです!」
『どんなところかな〜』
「私のイチオシのチーズケーキがあるお店だ」
『エルザのイチオシとか間違いないじゃん』
なんかすごい、女の子!て感じのこの時間が、たまんないわ。いつもはもっとうるさい男どもがいるし、、まああれはあれで賑やかで楽しいけど、華があるこの時間もいいわあ。
世間話をしながら歩いていると、繁華街から少し歩いたところに可愛らしい喫茶店が。全体的に白で統一して、テラス席もあり、ガラス張りになっている壁も、全てがお洒落だ。
中に入ると、ちらほらお客さんがいたけど、満席ではなかったので、すぐに通してもらえた。
どうせなら、てことでテラス席に案内してもらう。
メニュー表を見て、みんながみんな、エルザおすすめのチーズケーキを注文する。数分が経ち、ケーキが運ばれてきた。
「ん〜!これすっごい美味しい!」
「たくさん食べちゃいそうです〜!」
『うまうま!!』
「そうだろそうだろう。他にもフルーツタルトもオススメだ」
口に入れた瞬間に広がるチーズの甘み。しっとりしていて、濃厚で、たまらんこれ。
美味しいからこそ、すぐ無くなるのは勿体無いからちまちま食べる。みんな同じ考えみたい。
フルーツタルトも美味しそうだし、2個食べちゃおかな?いいよね、たまには。気にしたらダメだ。気にしたことないけど
『なんか、いいね〜』
「何が?」
あたしが今のこの状況を口に出すと、みんな何に対してなのか分からず、首を傾げる。
『こーやって、まったりみんなと過ごせて、幸せだなあ、て!』
「な、によ、急に、照れるわねっ」
「でも、私も嬉しいです!」
「そう言ってもらえてなによりだ。お互いを知る機会にできたら、て思ってな」
『ふはっ、ありがと!』
他人との干渉を、一歩控えていた昔のあたしからじゃ、考えられないような時間だ。
誰かのことを知りたい、あたしのことを知ってもらいたい、こんな気持ちになるなんて。
「私たちは同じギルドであり、チームであるからな」
『チームかあ、、。あ!じゃああたし質問してもいい?』
「もちろん!何でも聞いて!」
お互いが気になるところを聞いて、答えて、距離がすごく縮まる感じがする。
楽しくきゃっきゃうふふしていたのに、この空間を邪魔する野郎どもが現れる。
「彼女たち可愛いね〜!」
「ここ済んだら次俺たちと一緒にどう?」
テラス席に座ったのが間違いか、道行く男にお茶のお誘いをされるのだ。しかも見た目がチャラいやつ。
だいたいはエルザが華麗に対応する。ナンパと思っていないのか、素直に会話をするエルザに、上手く繋げることができない男どもが負けて去っていくのだ。
ちなみにこれで三組目。