ギルドの一角でいつものメンバーで談笑していた時だった。
「アリス!」
『ん?』
「ちぃと来てくれんかの〜」
『ほーい!』
アリスのみが名前を呼ばれ、マスターの元へ行く。そこには一枚の依頼の紙を持ったマスターと、その前には、
『ガジル?』
「うむ。この依頼を二人に頼みたいんじゃ」
『へ?…あたしとガジル?』
「ちょっとまて!!」
『うわ、びっくりした』
「なんじゃい、ナツ」
「何でガジルと二人なんだよ!」
『たしかに、なんであたし達なの?』
二人、しかもガジルというのが初めてであり、なんとも慣れていないコンビである。
「依頼主がのう、二人を指名しておるんじゃ」
マスターが見せてきた依頼書には、妖精の尻尾のアリスさんとガジルさんを指名します。と書かれていた。報酬は100万J
「てなわけで、二人に頼みたいんじゃよ」
『あたしはいいけど』
「オラ、早く行くぞ」
「ガジルテメー!!」
『いってきまーす!』
喧嘩をふっかけそうなナツから遠ざけるために、ガジルと駆け足でギルドを出る。
しかしまあ、場所的に泊まりがけっぽくなりそうなので各自家で準備してから再度合致した。
列車に乗って数時間らしく、列車内はガラガラだったので四人掛けの席にガジルが先に座り、向かい合う形で座った。
『そいやあたしとガジルってあんま絡んだことなかったよね』
「人気者だからなァ?」
『えええ、ガジル自分でそんなこと思ってんの』
「オメエがだよ!!」
たしかにギターが趣味は人気ありそうだなあて思ってたら、突っ込まれた。
シャルルと似てる感じでツンツンしてそうだけど、やっぱ妖精の尻尾の仲間はいい人だらけだなあ。
『これを機にガジルのこといっぱい知ろう会を始めまーす!』
「勝手にしとけ」
『ずばり!妖精の尻尾で気になる女の子は?』
「いきなりそんなこと聞く奴がいるかよ!!」
『え?そう』
あたし的に、可愛い子が多いし単純に気になっただけなんだけどな。
なんだか噂ではレビィといい感じだとか、でもルーシィとバニー&ギターマンで仲良しだとか。
『じゃあさ、何でガジルは妖精の尻尾に入ったの?』
「…別に何でもいいだろ」
『やっぱり気になる人が、』
「ちげえよ!!…マスターに声をかけてもらったんだ」
あんまり詳しく自分からは話そうとしないから、その経緯をあたしが突っ込みながら聞く。
幽鬼の支配者に所属していた頃、妖精の尻尾との全面戦争。そこでナツに負け、ギルドも解散になったガジルは一人、崩壊したギルドに住み着いていたらしい。
そこにマスターがきて、手を差し伸べてくれたとか。
『へー!あたしはね!エルザに手を差し伸べてもらったの!人は違うけど同じだねえ』
「お前とオレじゃ立場がちげえだろ」
『そうかなあ?でも誰にでも優しくあって、手を差し伸べる強さを持ってるギルド、あたしは好きだなあ』
話すことが得意ではないのか、あたしが主に話していたが、だんだん慣れてきたのか、ガジルからも話したりするようになった頃に、目的地の最寄駅に着いた。
そこから地図通りの道を進むと、森の中に大きなお屋敷が。
『ここ、だね』
「随分不気味な屋敷だな」
呼び鈴を鳴らすと、屋敷の人がすぐに対応してくれて、客間に案内された。
そのまま出された紅茶を飲みながら数分待っていると、入ってきたのはおそらくこの家の主人のおじさんと、若い男女二人。
この男女二人を見て、なんとなあく、今回の依頼内容が分かった気がした。
「はじめまして、遠いところお越しくださりありがとうございます。私はこの家の主人です」
『妖精の尻尾のアリスです、こっちはガジルです』
簡単にお互い挨拶を済ませたところで、本題に。