2015クリスマス

Merry Christmas





12月25日、世間で言うクリスマス。
そんな日でも相変わらず妖精の尻尾は騒がしい。ほんと、年中この調子だけど飽きないのよね。


『依頼いく?』
「はいなの!」


ミラが作ってくれたオムライスを完食し片付けてから依頼板の前に立ってなかなかの報酬額の依頼があるか確認する。あれ?昨日けっこういいのあったと思うんだけど。


『討伐のんどこいった?』
「ないみたいなの〜」
『誰かが行っちゃったかー』
「仕方がないから違うのにするの!」


そう言ってもねー。クリスマスだからかどうかは分からないけどあんまりあたしが好むのがない。討伐とか討伐とか討伐とか。

せっかくだし今日はゆっくり休ませてもらおうかな。


「アリス!」
『んあ?』
「見て見て!あたしが作ったの!」


ルーシィに名前を呼ばれて振り返ると、紙袋から何かを取り出した。
それが何かは袋に包まれているのでわからない。開封してもいい許可を貰ったので開けるとマフラーが入っていた。

え?


『…ルーシィって手先器用だっけ?』
「失礼ね!あたしだってやるときはやるわよ!」
『へー。で、これくれるの?』
「うん!あたしからのクリスマスプレゼント!」
『おお!ありがとー!』
「ティアも欲しいの!」
「もちろんあるわよ!」


ティアもあたしと同じ青色のマフラーをルーシィからもらっていた。何で青色か聞いたらルーシィ曰くあたし=青らしい。

うん、すごく嬉しい。
ジェラールとあたしの色だから。


「エルザもプレゼントあるって言ってたわよ?」
『プレゼントとかあたし用意してない』
「いいんじゃない?いつも何かと貰ってるし」
『そう?んじゃ、いーや』


朝にはウェンディにヘアアクセを貰ったし幸せだなぁ。

マフラーを貰って喜んでいるティアはお返しにとホットミルクをあげていた。
あたしは笑いが止まらなかった。

その後ルーシィの言った通りエルザがプレゼントを持って来てくれた。


『おおおおお!ケーキ!』
「形はともかく味には自信がある」
『形はともかくね』


おぞましい形をしているから食べる気が失せてくるけどこんなにキラキラした目で見られたら食べるしかない。
おそるおそる口に運ぶと口内いっぱいに味が広がった。


『……うまい』
「そ、そうか!よかった!」
『うっま!エルザすげえよ!』
「照れるじゃないか」
『ゲフ!』


痛い痛い。鎧が痛いです、エルザ様。

テンションの上がったエルザはギルド内の他の人にも配りに行っていた。
形があれなので「食べれるのか、これ」と聞いた奴らはふるぼっこにされていた。ご愁傷様。

それからミラとカナ、顔を真っ赤にしたジュビアなどみんなプレゼントをくれた。何このギルド女子力高くね?
あたしだけだよ何も用意してないの。


「やあアリス」
『ロキじゃん。よっ』


いつもの王子スマイルであたしの横に座った。
こういう日ってロキとか予定たくさん入ってるんじゃないのか。モテ男め。


「アリスー!」
『んが!』
「クソ炎何してんだよ!大丈夫かアリス?」 
『鼻が潰れました』


ナツが背中に飛びついてきたせいで机とこんにちはしてしまったじゃないか。地味にいてぇ。
グレイはあたしに乗っかっていたナツを引っ張って下ろしてくれた。どかされたナツは不服そう。


『てか三人ともどうしたの?』
「え、用がないとアリスと一緒にいてたらダメかい?」
『いやべつに。てか手』


何気に肩に手を回して顔を近づけてきているロキ。
そんなロキからあたしを横から引っ張って離すが、引っ張った衝撃で顔の距離がぐんと近くなって照れるグレイ。そのグレイを蹴飛ばし後ろからあたしを抱きしめるナツ。

なんだなんだ、今日は大胆だな君たち。


「あ、そうだ、アリスにプレゼントがあるんだ」
「俺からもあるんだぜ?」
「受け取れアリスー!」

『なっ!』


三人から同時にプレゼントらしきものを投げられてなんとかキャッチ。あたしの反射神経やべ。


「クリスマスだからな」
「アリス気に入ると思うぜ!」
『あ、ありがとう!』
「…アリス愛してるよ」
『ありがとうごめんなさい』


ロキに言われてもきゅんとこない。
何回言われたことか。

まあね、今日はクリスマスだし…


『ナツ、グレイ、ロキ、』
「あ?」「お?」「ん?」

『………愛してるよ』
「「「は!?」」」
『なんてね。ばーか』


してやったり。
べーってやってからギルドを出る。呆気にとられていた三人もあたしの後を追うように出てきた。
雨が降っているから濡れるが、この後のことを考えるとどうでもいい。

よし…


『ルーシィ!エルザ!ミラ!ジュビア!それにみんな!』


ギルドのみんなに聞こえるように大声で叫ぶとみんなこっちに注目した。


『あたしからのプレゼント!』


魔力を解放して空に放った。

天候変形・・・


『メリークリスマス!!』


・・・・・・雪!


どんよりとした雲から降る雨は今日はつまらないから変えさせてもらおう。雨が止むと、雪が降ってきた。

その瞬間妖精の尻尾からだけじゃなく、マグノリアの町から感激の声が聞こえてきた。


これがあたしからのクリスマスプレゼントってことで。




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メリークリスマス!

ギリギリ滑り込みセーフ。
本編は最近更新できてませんが必ずしますので!
そしてジェラールを出せなかった…
これが一番ショックです。
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