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剣城くんと最後に顔を合わせたのが、あの帰り道の日。

あれから、私は優一さんには何回か、剣城くんと出会わない時間帯に会いにいった。

家で玲央くんは、「剣城が練習にこねえ!!」と叫んでいたけど、どうしたのかな、


そして今日は、雷門中と帝国学園の関東準決勝の日。
優一さんと一緒に病室で見ようと約束していたので、今日は試合会場である帝国には行かない予定だ。

慣れた道を通り、優一さんの病室にノックしてから入る。


『おはようございます〜』

「おはよう、まってたよ」


朝から爽やかスマイルいただきました。

優一さんのベットの横に椅子を置いて、そこに座る。もうすぐ始まるため、テレビをつけて待つ。

始まるまでは優一さんと世間話をしていた。

数分経つと、実況者の声が聞こえてきた。

雷門対帝国

でも、おかしな点が一つあった。
雷門中の選手が十人だけで、剣城くんがいない。


「なぜだ?なぜ試合にでてないんだ、京介」

『剣城くん、』


優一さんのところにもいない、試合会場にもいない、そうなるとまさかフィフスセクター本部に?
いや、試合の日にそんなことがあるわけがない。

その間にも、雷門中は帝国学園に押され気味である。
一人いないだけで、こんなにも戦況は変わってくるんだ。

優一さんは画面をじっと見つめ、剣城くんが試合に出ていないのを疑問に感じているようだ。
私も同じだ。


「京介、」


「おはよう兄さん」


え、剣城くん、ここに来ちゃったよ?

それに、私すっごく気まずい。
私がいるとは思わなかったのか、病室に入った瞬間に目があったため一応礼儀として、頭を軽く下げた。
そんな私を少し見つめた後、少し離れたところにある椅子に座った。


「京介、お前なぜここに?試合はどうしたんだ?」

「っ、ああ、うん…」

「京介、」


私、もしかして邪魔かな、
なんて思っていると画面越しで雷門中が必殺タクティクスのアルティメットサンダーを決めようとしたが、失敗に終わっていた。

このタクティクスは、順番に蹴り、最後の一人が相手のディフェンス陣地に蹴り込み、衝撃波でなんちゃらかんちゃら言っていたけど、

そういえば、玲央くん以外のフォワードは、みんなパワーよりテクニックだとか言っていたなあ。

唯一可能性がある玲央くんも試してみるけど、蹴り返すことはできてるが、衝撃波が弱いため意味がない。


剣城くんなら…?


「いいのか京介、いかなくて。今ならまだ、試合に間に合うぞ」

「………」

「京介、」

「大丈夫だよ、俺が出なくてもあいつらは十人で戦える」

「え、」

「あ、なんかこの部屋暑いな、喉乾いた、なんか買ってくるよ」

「京介…」


優一さんと目を合わすことなく、この空気が嫌になったのか、剣城くんは病室を出て行ってしまった。


「美羽ちゃん、」

『っ!はい!』

「やっぱり京介がここにいるのはおかしい。俺話してくるよ」

『あ、じゃあ私剣城くんのとこまで押しますね』


優一さんがベットから車椅子に乗るのを手伝い、剣城くんを探すために病院内を彷徨う。

剣城くん、どこ行っちゃったんだろ、

飲み物を買うって言っていたけど、どこの自販機かな、


あ、いた。
けど、これは非常にまずい。黒ずくめの男の人と剣城くんが話し合っている。
幸い、ここからだと会話は聞こえないけど、このままじゃ優一さんに、剣城くんのことが知られてしまう。

でも、優一さんも気付いてしまったのか、剣城くんが男の人と一緒にいるのを見て顔をしかめた。

そのまま二人は病院の外に向かった。


『あの、優一さん、』

「美羽ちゃん、ついていこう」

『、はい』


剣城くんごめんなさい、

二人の後を気付かれないように追いかけ、声の聞こえるところで止まる。


「我々フィフスセクターは、お前に使命を与えたはずだ。雷門を敗北へと導くという使命」

「心配いりません。あの試合、俺が手を下さなくても…、雷門は負けます」

「帝国学園は、厳しい訓練で鍛え上げられています。十人の雷門で勝てるわけありません」

「だといいがな。万が一帝国学園が敗れ、雷門が勝つようなことがあれば、お前の兄の手術費、諦めてもらうことになるぞ」

「っ、くっ、」


全部、優一さんに知られてしまった。
その場から動くことができず、優一さんの反応を待っていると、初めは目をかっぴらいて驚いていたけど、一息つくとこっちを向いた。


「戻ろう」

『優一さん、あの、』

「京介が戻ってくるのをまとう。ちゃんと話したいことがあるんだ」


きっと、優一さんは悲しんでいる。
でも、私に心配させないように優しい笑みを浮かべたので、何も言えなかった。