結果からいうと、三対二で雷門中の勝利だった。
松風くん、西園くん、そして最後に剣城くんと点を入れたのは一年生のみんな!
本当にフィフスセクターを裏切ってよかったのか、優一さんの手術費を捨てていいのか、という剣城くんの葛藤があり、アルティメットサンダーの不発が何回か続いたけど、松風くんの言葉に剣城くんが全力で応えた。無事アルティメットサンダーも完成でき、勝つことができた。
新しい剣城くんの必殺技、デスドロップも観れたことだし、私としては満足すぎる。
試合後剣城くんは松風くんとハイタッチをしていた。
私もハイタッチしたかったな、
なんて剣城くんのかっこよさに浸っていたら、円堂さんに声をかけられたので、玲央くんと一緒について行く。
「(あいつは…)」
「剣城!どうしたんだ?」
「いや、(不思議なやつだな)」
「(剣城もしかして、美羽のこと探してる?)」
まさか私を探してくれているなんて知らなかった。
円堂さんの後についていく。
帝国の大きな敷地内を歩いて、誰もいないところまで来ると、前の方に一人の人影が見えた。
『(ちょっと玲央くん、あれって、)』
「(ああ、俺も初めて知った時はびっくりした。まさか帝国で監督をしてるとはな)」
『(円堂さんが雷門、鬼道さんが帝国ってなんだか昔に戻ったみたいだね)』
「(ほんとだな。これで修也兄さんもいれば完璧だな)」
玲央くんと、視線だけでやりとりをする。
テレパシーみたいに見えるけど、実際声は聞こえないし、兄妹の絆ってもんでしょ、なんて思っている。
鬼道さんとの距離が縮まり、円堂さんが尋ねた。
「鬼道、なぜお前がフィフスセクターに」
「ふっ」
その悪人面も、ほんと昔みたい。
とりあえず、二人の話が終わるまで大人しく待っておこう。
難しい話はよくわからないけど、二人の会話を聞いてる限りまとめるとこんなとこかな、
帝国学園はべつにフィフスセクターの手に落ちたわけではなく、表面はしたがってるように見せ、シードをあぶり出しているとか。
そして、円堂さんと話し終えると、私たち兄妹の方へ足を向けた。
「それにしても、久しぶりだな」
『「おひさしぶりです!」』
「雷門の監督になるとき、名簿を見たら玲央の
名前があったからな、はじめ見た時は驚いたよ」
「俺からしたら円堂さんが監督になることに驚きでしたけどね!」
「美羽はサッカー部に入らないのか?好きだろ?」
円堂さんの言葉にドキリとしてしまう。
確かにサッカーは大好きだ。
でも、サッカーに深く関わると修也くんとの約束を破ることになってしまう。
修也くんが聖帝になると私に告げてくれたあの日、修也くんの目的が達成されるまでは、影から見守ろうと決めた。
『サッカーは大好きだよ。でも私、部活には入んない』
「それは俺が関わるなて言ったからか?」
『違うよ、私約束したの』
「約束?」
玲央くんは訳がわからない、という風に首を傾げる。
修也くんのことは、玲央くんは知らない。
まあ、聖帝が修也くんということは、写真やテレビで見て分かってると思うけど。
「それは、聖帝…、豪炎寺とのか?」
「え、修也兄さん、?」
『…うん。私と修也くんの約束なの』
「約束って、俺何も知らないぞ?」
『ごめんね玲央くん。玲央くんはサッカーのことでいっぱいいっぱいで、それにその約束でサッカーに関わらないって決めたから』
自分だけ除け者にされたような気がするのか、納得のいかない顔をしていた。
「美羽、豪炎寺はどうしてフィフスセクターに」
『たとえ円堂さんでも、私からは何も言えない。ただ一つだけ、修也くんはサッカーが大好きだから聖帝になったんだってことは言っておくね』
だから、これ以上は何も言いません!と言うと苦笑されたけど、私が修也くんのことを大好きだと知っている二人は諦めた。
未だに玲央くんは不機嫌だけど。
まあ、そのうち元に戻るでしょ。
ちなみに、私は明日帝国に行けないので、円堂さんと玲央くんには先にグラウンドに戻ってもらい、フィフスセクターの反乱軍、レジスタンスのことを教えてもらった。
帝国の地下にレジスタンス本部があり、久遠さん、雷門理事長、火来校長、そして響さんなどなどが活動の中心としている。
そして、修也くんに対し、響さんを新しい聖帝に推薦し、修也くんから聖帝の座を奪い取る。
簡単にまとめるとこんな感じかな。
『レジスタンス、か』
「豪炎寺から聖帝の座を奪おうと考えていることにおまえは反対か?」
『そうだねえ、べつに反対じゃないよ?あの頃のサッカーを取り戻して、鬼道さんは鬼道さんで好きなように動いたらいいと思う』
「…わからないな」
『え?』
「豪炎寺を裏切らないと言いつつ、聖帝の座を奪おうとしてる俺たちの邪魔はしないのか?」
ああ、なるほど。
確かに矛盾してるけど、私の答えはすでに決まっている。
『言ったでしょ?私はサッカーに関わらない、修也くんの味方にもならないし、雷門にも入らない』
あくまで傍観者としてみんなの革命を見守っておくよ。
「豪炎寺の目的を知っているおまえが俺たちに協力してくれたら、全て上手くいく気がするんだがな」
『えへへ、残念でした〜!でも大丈夫、何も知らなくても雷門サッカー部はうまくいってるよ』
「ふっ、そうだな」
いつの時代の雷門も、決して立ち止まらずに諦めないで大きな物にぶつかっていってるんだな。
松風くんから始まって、剣城くんが変わって、本当のサッカーをできている今が私は好きだな。
は!そういえば剣城くんにお疲れ様って言うの忘れてた!!
もう帰っちゃったよね、試合後の会話が…
たぶん私から負のオーラが出ていたのだろう、鬼道さんが肩をポンっと叩いてくれた。
『鬼道さん…』
「元気出せ」
『雷門総合病院まででいいので送ってください』
「………(ちゃっかりしてるな)」