私の頭の中は彼のことでいっぱいだった。
昨日の今日で、葵ちゃんに会わせる顔がないと思っていたのに、家のドアを開けたらにっこり笑いながら立っていたものだから、思わず学校休もうかと思ったよ。
そしてやっぱり聞いてきた。彼のこと。
「誰」
その一言だけだったけど、早く教えなさいオーラがばんばん出ていて、教えたいけど名前は知らないし、会ったのも昨日の一回きりだし…、そう言えば驚いた顔をされて、ため息をつかれた。
『でもすっごくかっこいいから』
「それ昨日も聞いた」
『うぐっ』
「だいたいさー、見た目がよかっても中身がどうかが問題じゃないの?」
『ごもっともです』
しかし彼はかっこよかった。
それから彼の話はいったんおいておき、次に話題となったのが部活のこと。
葵ちゃんは昨日サッカー部に行ってそれからいろいろあってマネージャーになると決めたらしい。私はどうしよっかな。
「一緒にマネージャー…、はできないか」
『そだねー。うーん…、一度見て回ったんだけど、特にやりたいことないんだけどなぁ』
「いっそのこと帰宅部」
『そうしよっかな(部活を唯一の楽しみにしようと思ったけど、まあ、あの人に恋するので精一杯だわ)』
そんな事があった。
入学してから二日目の学校は、まだみんななれていなくて、友達をつくっていた。私も教室に入ってすれ違う人たちに挨拶すると返してくれた。
朝はながーいHRでシンとした教室に、先生の声が響いていた。
一人一人自己紹介をしてから始業式。
その間もクラスの人たちと友達になるために、頑張って話しかける案を考えたりしていた。案外みんな普通に話しかけてきてくれたけど。
それにしても昨日から空席があるけど、入学式から登校拒否ですか。
「というわけで今週中には、プリントに書いてる持ち物を持ってくること。それから、来週のこの時間は委員会とか決めるからね」
先生が話し終えると同時にチャイムが鳴り、先生は教室から出ていった。その瞬間に何人か立ち上がり、仲良くなった人のところに行き、委員会について話したりしている。
私も委員会どうしようかな。入っといた方が成績が…。でもめんどくさいから後期から入ろうかな。
今日の授業も午前までだった。葵ちゃんが部活に行ってしまったので一人で帰る。これからほぼ毎日一人か。
ちょっと寂しいなあ。
あ、でも試合の日とか葵ちゃんに聞いて玲央くんには内緒で見に行こっかな。それなら彼に会えるかもしれない。
『あ、(そろそろ定期診察か)』
病気ってわけじゃないけど、一ヶ月に一回定期的に病院に通っている。
いつもは月初めに行ってたけど、今月は入学やらいろいろで忙しくて行けてない。
学校になれてきてから行こう。
それじゃないと病院の先生に起こられちゃう。
家に帰ってお昼を食べてから、仲良くなった友達と連絡を取り合ったり明日の準備をしたりして、時間をつぶした。