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あれから玲央くんは一言「そうか」とだけ言ってから無言になった。自然と私も無言になりそれきり話すことはなかった。

サッカーは大好き。自分でやるよりも見るのが。
それを知ってか葵ちゃんはやけに試合を見に来いと誘いにくる。確か、ほーりーなんちゃらってのに雷門中は出場するらしい。
それより私には重要なことがあった。


『葵ちゃん、彼の名前と学年を』

「特徴」

『あ、そうだった。んっとねー、背が高くて、かっこよくて、強そうで…』

「(またそこから始まるのね…)」

『肌が白くて』

「うんうん」

『ベンチの近くに立ってて』

「うんう、ん?(ベンチの近く?)」

『ユニフォームはねー、』

「そうよ!背番号は!?」

『着てなかった、て、え?』

「え?着てないって…」


"え?"の部分が重なった。それとぽかーんとしてる顔も一緒だと思う。


「ま、まさか、剣城…」

『剣城くんって言うの?かっこいい名前!あれ、でもどこかで…』


剣城剣城…、うーん。どこだっけ。
思い出そうと必死に考えを巡らせるていると固まったままの葵ちゃんがハッとして私の肩を揺さぶった。


『待って。ギブギブギブ』

「剣城って嘘でしょ!?それに美羽と同じクラスよ!」

『…同じ、クラス……?』


じゃあまさかあの空席が?登校拒否してるの誰よと思ってた人が?私の思い人ですか?


『ええええええええ!!?』

「驚きたいのはこっちよ!!」

『私、剣城くんと、一緒のクラス…』

「いやでも待って。剣城と決まったわけじゃないわ」

『剣城くんってこんな人?』


横髪がくるっとなっていてつり目で金色の瞳。


「剣城ですね」

『やった!』


葵ちゃんはどこか納得のいかない顔をしていたけど、私は今までにない喜びを感じていた。


「…美羽には悪いけどさ、やめといた方がいいよ」

『な、何で…?』


そう聞くと困ったような顔をしてから話し出した。


「剣城、サッカー部を潰しに来たって言うか、敵って言うか…」

『…それでも私は、好きになっちゃったんだよ』

「美羽が、こんなに、惚れてるなんて…。好きになったらとことん好きになるタイプね」

『はぁ…、かっこいい』

「確かにね、顔立ちは整ってると思うけど」

『まさか、葵ちゃんも…』

「違うから」

『それならよかった。剣城くんの事で何かわかったりしたら教えてね?』

「はいはい、わかったわよ」


少しずつ、少しずつでいいから距離を埋めたかった。