「は?何その奇跡」
『いやー、私も幸せすぎて!ふふふー』
「よかったわね。てかそれ本当に剣城?私にはそんなことしてくれるとは思えないんだけど…」
『絶対剣城くん。道に迷ってよかったってあとから思った』
「道に迷って剣城に出会って道教えてもらえる、ほんと奇跡としか言えないわ」
『へっへーん』
「すごい運の持ち主」
ほんとに昨日のことは運だと思う。きっと星座占い一位だったな、うん。
教室で葵ちゃんに話していたら私が目についたのは、少し近くにある空席。入学式から教室に一回も来ていないその席の主は、言わずとも私の想い人、剣城くんの席。
同じクラスだから接点がないよりマシだけど、一回も来てないから、他のクラスと同じように思えてしまう。
「剣城くんがいてくれなきゃ私つまんなーい」
『そんな事言ってないわ!』
「いや、バッチリ剣城の席見てたからね?怖いくらい」
『え、そんなに?』
「うん」
自然と目がいっちゃうんだもん、仕方ない。
定期診察の存在をすっかり忘れていたので、呼び出しがかかった。
放課後になって病院に行き、決まっている診察室に入って検査終了。もちろん異常なし。
「背中に変な痛みとかはない?」
『ないよ〜、元気元気!』
「それならいいわ。それにしても今日は機嫌がいいのね」
『あ、わかります?私にも春がきたんですよ!』
「詳しく」
目をキラキラさせて聞いてくる先生に、私も同じようにキラキラして話した。これはぜひ聞いてほしいもの。
『それで、その人の名前が剣城くんって言うんですけど』
「え、剣城?」
『はい。…まさか知ってたり?』
「うちの病院にいるわよ?私は彼の専門じゃないからよくわからないけど…。剣に城って書いて剣城じゃない?」
『そうです!』
"剣城"て名字はなかなかいないと思うし、漢字も同じ。これはきっと彼だと思う。
「確か今は診察中だったような…、どうだったかしら」
『行ってみます!』
「気をつけてねー」