泣き虫少女のタイヤ探し
「おーそーい!もうすぐ夕食の時間よ!」
「あ、あぁ…」
『あっ…。わ、私、お手伝い忘れてました…。ご、ごめんなさい』
「気にしないで真雪ちゃん。でも二人ともどこ行ってたの?心配するでしょ?」
「えっとー…」
守くんが口ごもるのを見て、先ほどの夏未さんとの会話を思い出していた。
影山さんの仕業で死んだと思われていた守くんのお祖父さんは実は生きていて、仲間の助けがあって海外に身を潜めたらしい。
一通り話し終えた夏未さんは自分と会ったことは内緒にするように私たちに言い、まだ調査があるだとかで行ってしまった。
『えっと、その…』
「また特訓するところでも探しに行ってたんでしょ?」
「は、はは…」
「そんな事だと思った。はい、これ」
そう言って秋さんは守くんが常に特訓に使っていたロープを出して守くんに渡した。
「ありがとな秋!よーっし!さっそくタイヤ探しに行ってくる!」
さっそく特訓に行こうとした守くんを秋さんと一緒に止めて、夕食後にタイヤを探すため宿舎を出た守くんの後を私は追いかけた。
『守くん!ま、待ってくださいぃ』
「ん?…真雪!どうした?」
『私も、その、お手伝いさせてください…』
「手伝ってくれるのか?サンキュー!」
笑顔で言ってくれた守くんに私も笑顔で返した。
タイヤを探すのはいいけど大きなタイヤなんて簡単に見つかるわけじゃない。それにあんまり遅くに帰るとみなさんが心配してしまいます。
『守くん!急ぎましょう!』
「ああ!…て、危ない!」
『へ?』
後ろを向いて走ったのが悪かったのか曲がり角で人とぶつかってしまった。でも尻餅をついた感覚はなくてぶつかった人に腕を引かれた。
『あ、ありがとうございます…!』
「あいかわらず危なっかしいね」
『ふぃ、フィーくん!?…あ、ボールが……』
なんとぶつかったのはフィーくん。リフティングしていた彼は私を助けてくれたけど、肝心のボールがトラックに乗ってしまった。
あ、あのタイヤ、守くんが探してる大きさにちょうどいいかもしれません。
「真雪!大丈夫か!?」
『は、い…。でも、フィーくんのボールが…。そ、それと!あのタイヤ…!』
「タイヤ?」
私が指さした方にあるタイヤを見て守くんは走り出した。それと同時にフィーくんも。て、え…、私、そんなトラックなんかに追いつけませんよ…!
後ろから懸命に追いかけるけど、無理ですぅ!それにこんな時だけどやっぱりフィーくんの方が速いスピードですね。
…て、見失ってしまいます…!
フィーくんのように裏道を通るなんてできないので私は守くんについて行った。
フィーくんに追いついたときにはすでにトラックは止まっていた。
そしてトラックからはあの大きなタイヤが転がり落ちてきた。
「危ない!」
『守くん!』
「うわ!…ゴッドハンド!」
ギリギリセーフ、ですね…。
そ、それよりも、この坂道、きつくありませんか?
『はぁ、はぁ…、ふぅー。守くん、フィーくん、早いですよぉ…』
「あ!ごめん!」
「大丈夫?」
『だい、じょうぶ、です…。あ、ボールごめんなさい…』
「気にしてないよ」
フィーくんが優しく背中を擦ってくれた。本当に紳士ですね。
それからタイヤのおじさんに事情を話してタイヤをもらい、フィーくんとばいばいした。別れるときにほっぺちゅう頂きました。