明日は女の子にとって特別な日。
大好きな人やお世話になってる人に、感謝の気持ちを伝える。
まあ簡単に言っちゃえば、
「バレンタインだー」
「うわ、すっげえ甘ったるい匂いだな」
リビングに入ってきた玲央くんは、甘いものは苦手ではないけど、その玲央くんでも甘いと感じるてことは、かなり甘ったるい。
「やっぱり甘いよね〜」
「まあ俺はこれも好きだけどな〜」
「ビターにしなくちゃ、甘いの苦手らしいから」
「剣城にか?」
「あたりまえだよ!でもビターチョコ使っても甘くなっちゃうの」
もしかして、私の剣城くんへの想いがチョコに入っちゃってたり、えへへ
「顔キモいぞ」
「うるさい。玲央くんは今日は試食係ね」
「おー、歓迎歓迎!美羽料理はうまいからなあ」
なんて話をして、昼から作り始めて完成したのは夜。
生チョコ、クッキー、ケーキ、トリュフ、マカロン、ゼリー、などなど、夜までにたくさんできたけど、無難なトリュフとクッキーをあげることに、他に作ったのは明日のおやつにしよう、と決めたのが昨日。
剣城くんにはトリュフとクッキーだけど、みんなにはクッキーだけ。
2月14日当日、紙袋に何個かお菓子を入れて、そのうちの一つは特別にラッピングしている。
「美羽!おはよ!」
「葵ちゃんおはよ〜、はいこれ」
「わあ!ありがと!私からもこれ!」
葵ちゃんから友チョコをもらい、早速休憩時間に食べよう。
その後は松風くん、西園くん、輝くん、マサキくんにもあげた。
意外にもマサキくんは甘党だったらしく、昨日作ったお菓子も何個かあげた。
本命の剣城くんは…
いた、けど、やっぱり思った通り人気者だ…
松風くんたちにあげるときも女の子がいたし、剣城くんはクールな上エースストライカー、普段は近付かない女の子たちも今日はがんばってアピールをしている。
私も負けてられない!!
「つ、剣城くん!」
「!美羽、」
「あの、これ、剣城くんに」
「俺に?」
やっぱり、他の人と渡す時とは違う。
受け取ってもらえるかな、とか、味は大丈夫かな、とか心配事が多くなる。
剣城くんに渡すために差し出した袋が、ゆっくりと剣城くんの手の中におさまる。
「…ありがとう」
「!!どういたしまして!」
「開けてもいいか?」
「へ?今?てもう開けてる…」
袋の中からラッピングされた箱を取り出して、開封していく。剣城くんは昨日作ったトリュフを口に運ぶ。
ドキドキしながら剣城くんの感想をまつ。
「ん、うまい」
「ほ、ほんと!!?」
「ん。でもなんか、これ…」
「ん?」
あれ、この匂い、まさか…
「クラクラする…」
「わ、わあああ、お酒いれちゃった…!」
昨日玲央くんと面白半分で馬鹿みたいにお酒いれようそうしよう、て感じでいれたトリュフもあったけど、まさか間違うなんて!!
「剣城くん!とりあえず、保健室にいこ?」
「美羽…」
「ほら、え!?」
手を引っ張ろうとしたら、逆にぐいっと引かれてあっという間に剣城くんの腕の中。
やばい、私死ぬ。
「つ、つつる、つるぎくん!」
「美羽、美羽」
「だ、だめだよ、剣城くん、保健室いこ?」
「美羽…」
あれ、あれれ、なんか、え?
周りの悲鳴じみた声と、腰と後頭部に回された手に剣城くんの顔のドアップ。
これって、
「んんん!?」
「ん、美羽…」
「はぁ…、ん、まって」
「またねえよ」
あ、だめこれ、私、意識飛ぶ…
剣城くんにちゅうされて、しかも、いつもみたいな感じじゃなくて、噛みつかれてるみたいな、
とにかく何も考えられなくなる感じの、
「美羽…」
「つる、ぎ、くん」
止まらない剣城くんに、私の意識はもうぎりぎり。
「なに盛ってるの、2人とも」
「朝から見せつけないでよね」
そんな私たちをマサキくんと葵ちゃんがべりっと引き剥がした。
「あ、葵ちゃん、わたし、しぬ」
「剣城はどうしたのよ」
「狩屋、はなせ」
「いやいや、いつものクールな剣城くんはどこにいったんだよ」
マサキくんにおさえつけられている剣城くんは、ギロリとマサキくんを睨んだ後、私の方をむいて小さく微笑みながら、
「美羽、こい」
「(きゅん)つ、剣城くん!!」
「だめだめー!!」
「落ち着け!」
葵ちゃんだけじゃなく、知らない間に近くにいてた玲央くんにも止められた。
せっかく剣城くんがこいって言ってくれたのに、
「お前剣城にあげるの間違えただろ」
「そうみたい。あ、はやく保健室連れて行かなきゃ」
「俺が連れていくから、お前は教室に戻っとけ」
「なんで?」
せっかく剣城くんの介護ができると思ったのに、玲央くんには教室に戻れ、て。
「あのな、剣城は今酔ってる(しかも欲求に誠実だ)」
「うん、だから保健室に」
「お前ら2人にしたら何が起こるかわかんねーだろ」
「私、剣城くんに何もしないよ?」
「美羽じゃなくて、剣城がだよ」
「ん?」
わけがわからない。
酔ってる剣城くんが私に何をするの?
「剣城が狼になるってことよ。ちゅう以上のことされてもいいの?」
「ちゅう、以上の…!?むりむりむり!!私確実に死ぬよ!!」
「だから剣城は玲央先輩に任せて私たちは戻ろ?」
「う、うん」
剣城くんに抱きつくのは大好きなんだけど、剣城くんから抱きつかれたり、ちゅうされたりするのは慣れないのに、それ以上のことなんて…!
剣城くんごめんね、私のせいなのに…
「っ、美羽!」
「え?」
「あ!剣城くん!!」
おさえつけられていた剣城くんはマサキくんを振り払い、私の元に…、て
「んんんんん!?」
「は、美羽、ん、」
「ん、ふっ…、だ、め」
「盛るな!!!」
いた!!!
私悪くないじゃん!!チョコ作ったのは私だけど殴らなくてもいいじゃん!玲央くんのばか!!!
てか、剣城くん、色気が出てやばい…
私見てるだけで倒れそう。
「美羽、こい」
「うん」
「だから行くなって、ちょ、待てお前ら!」
玲央くんには悪いけど、私剣城くんが1番だから。
それに私と剣城くんは足が速いから誰も追いつけない。
その後、キス魔になった剣城くんは私にずっとちゅうをしてきた。
まあ、それ以上のことはなかったからよかったかな?
酔いが覚めた剣城くんは、私が死にそうになってて、それに自分がしたことを覚えていたのか真っ赤な顔になり何度も謝罪された。