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目を覚ましたジュリア。

知らない天井──否、知っている。
ガイアス城の客室だ。

「そっか、私倒れたんだった……」

残念そうに呟く。

扉から、ノックの音。
ジュリアはベッドから起き上がり、返事をする。

入ってきたのは、メイド服に身を包んだ侍女だった。

「お目覚めですね。よかったです」

安心したような顔。
きっと、彼女は心の底から心配してくれている。

「ありがとうございます」

ジュリアは素直に頭を下げる。
それを見てから、侍女は本題に入る。

「体調はいかがですか? 王が謁見の間にお呼びです」
「謁見の間……? ああ、あそこか」

自分が連れて来られて、ガイアスと対峙した場所だ。

熱は出ていない。行かない理由も特に無い。

「わかりました。すぐに……」
「いえ。食事を摂られて、お召し替えを。それくらいは待てる、とのことです」

それなら、とジュリアは用意された食事を摂ってから、これまた用意された衣服に着替え、謁見の間に向かった。


****


行けば、先程の子どもと老人。
見た感じ怪我はなく、元気そうだ。

「この者達が、お前に礼を言いたいとのことだ」

ガイアスが短く告げる。

「危ないところを助けていただき……王の客人だったとは!」
「おねえちゃん、ありがとう!」

客人ではない。
体が勝手に動いただけで、当時は半分朦朧としていて、助けた自覚も薄い。

だが、それをわざわざ口に出すのは憚られた。

「いえ、ご無事でよかったです」

ジュリアは小さく微笑む。

用事はそれだけだった。民の声を伝えるためだけ。
もう用はないなら、と下がろうとした時に、次の陳情が。

「王、流行り病が治まりません。医師も倒れ始め……」

最後まで聞けなかったが、概要は把握した。


*****


部屋に戻ったジュリア。
何をするでもなく、ベッドに腰掛けていたら、ノックの音。

また侍女だろうか、と返事をしたら、入ってきたのはア・ジュール王だった。

ジュリアは慌てて居住まいを正す。

「そのままでいい。今回も……」

ガイアスが言いかけて、遮るようにジュリアが声を出した。

「謝罪はいりません。また、兵の独断でしょう?」
「……ああ」

そこで、自分の数々の無礼を思い出すジュリア。

「私も極限状態だったので、失礼を……」
「それこそ謝る必要はない」

しばしの沈黙。

探るように、ジュリアが口を開く。

「病が、流行ってるんですね」
「ああ。高熱にうなされ、感染力も高い。医師や看護師が対応しているが、数が足りていない」

思っていたより深刻なようだ。

「……私、医学生なんです。成績もそれなりに良いんですけど」

ジュリアはまっすぐガイアスを見つめる。

「お役に、立てますか?」

覚悟を決めた目だった。










 




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