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「はい、どうもはじめまして。……おや、久しい顔もありますね。会うは別れの始め、アルファなり、オメガなり……。この時間、みなさんのお相手をいたします、江戸川です、ヒヒヒ」

江戸川先生はなんというか、相変わらずだった。

帰りがけに"劇薬"をくれたが……どうしろというのか。

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今日の特別授業が終わり、今夜泊まるホテル前までやって来た。

「シーサイド・シティホテル"はまぐり"。今日はここにお泊まりよぉ」

全員に動揺が広がっている。

それもそう、ここは"白河通り"――以前大型シャドウと一悶着あったホテル街だった。

柏木先生的には"なかなかのチョイス"らしいが……。

「ここ……怪しくないか?」

「そう? 地元にこういうの無いから、分かんない」

「ここね、"白河通り"って言って、その……」

「り、りせ、いいんだ。なんか、その先、聞きたくねぇ……」

花村くんは察しており、りせちゃんは知っているようだ。

「ここ、学生は泊まれるのか?」

瀬多くんが冷静に聞いてくる。

「……どうなんだろう」

多分、問題ないのだろう。多分。しかし、よくホテル側も承諾したなあ、と。

入るのを躊躇っていると、突然、妙な声が辺りに響いた。

「ノッフッフッフッ……思ったより早い到着ですね……。それに、なっかなかのホテルです……。ボクと会ったら……たとえばヨースケとかはどんな顔をするでしょうね……?」

「ッ……!? 殺気……!! 上かッ!?」

「あれって……まさか!!」

「とうっ!!」

掛け声と共に、大きなカタマリが向かいのビルの屋上がら飛び降りてきた。

「ふふんふん……しゅびどぅび」

鼻歌を歌いながら現れたのは……クマだった。

「クマ!? テメ、なんでここに!?」

巽君が驚きつつ聞く。

どうやら、クマの中の"寂しんボーイ"とやらが暴れたらしい。

しかもバイト代を使ってここまでオール鈍行。なかなか根性のあるクマだ。

「なんで来れんだよ、そのナリで……。てか、なんでわざわざ着てくんだよ"クマ"を!」

「何度か、捨てられそうになりました。けど、前にチエチャンたちが、デートしてくれるって言ったの、執拗に覚えてたからさ。くじけなかったクマね!」

知らない間にそんな約束をしていたらしい千枝ちゃんたちは苦笑いをしている。

「が、頑張ったね、クマくん……や、約束したっけ……そか、したよね。あたしたち、今度デートしてあげるって……」

「うっひょあー!! 覚えててくれたのね、チエチャン! ユキチャン、リセチャンもいんスか!? もちろんハルチャンも一緒クマね!?」

「じゃあ、みんなで一緒にね。それでいい?」

「う……良しとしよう!」

このクマ……以前に比べ妥協を覚えてきている。

「私、この街は来たことあるし、明日案内するね。まずはショッピングかな。夜もいいとこ知ってるよ」

「有里も、案内頼んだぞ」

「えっ、永、ここ来たことあるの?」

「来たことあるっていうか……去年まで住んでた」

「マジ!?」

「え、そうなの!? じゃあ私より案内向いてるかも。私、明日は永先輩についてっちゃおうかな」

「頼んだぞ」

瀬多くんの手が肩に置かれ、断れない状況になってしまった。

特に予定はないので構わないが……。

「わかった」

「ふふ、楽しみにしてますね」

りせちゃんに可愛らしい微笑みを向けられて、断れるわけがない。

「さてと……楽しみなのはいいとして……。ハァ……問題は、コイツだな……」

「お前、その辺で夜明かせんじゃねえか? それ着てりゃ冷えねえだろ」

「しどい! どんだけ頑張ったと思ってるクマ!?」

「ちょっとぉ、あなたたち? 部屋割りでモメてるのぉ?」

柏木先生がやって来た。

気づくと周りには他の生徒がおらず、私たち以外は全員ホテルへ入ったようだ。

「わ、ヤバ……」

「なにがヤバいのぉ? あら……? なぁに、その大きなクマちゃん?」

「お土産です」

「まぁ……。とぉってもビッグサイズだこと……。ほら、早く持って入りなさい」

瀬多くんのナイスフォロー? でなんとかごまかし、クマ入室の許可をもらった。

「そうそう、お部屋すごいわよぉ。全室ウォーターベッド。でも枕元の電気点ける時、間違えないでね? 回るから」

……やっぱり、ラブホだ……。

「と、とにかくさ。明日、楽しみだよね……」

「なんかもう、色々疲れたけどな……」

皆に続き、ホテルへ入った。

→おまけ

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